拾壱。あたし、実戦刀ですからっ！！ ページ12
敵が後ろにいる小夜に気付かぬようAは一つ、二つ、三つと敵を派手に斬り散らして敵を惹きつけていきます。
「っせい！」
小さな体躯を目一杯使って斬り伏せ、敵からの一太刀がくれば身を捩って避け、時には蹴り払い斬り払いと幼い見た目からは想像できない獅子奮迅振りを発揮していました。
「ひぃふぅみぃよぉ……ってどう見ても増えてるわね……おかわりは、要らないんだけどな。」
騒ぎを聞きつけた敵の増援が集まり、敵の数は当初の倍近くに増えていたのでした。
それでもAは半数以上を斬り、残りは片手ほどとなっていました。
斬りかかってきた大太刀の背を踏み台にその後ろにいた脇差を一閃して大太刀の背を突き刺し、Aはため息を吐きます。次の相手と振り向いた時一瞬だけ、きらり、と視界の端で何か鈍い光が見えました。よくよく見るとそれは刃こぼれした二振りの刀でした。
「どうして、こんな所に…！？」
もう一振いた大太刀が落ちている刀に気付き、叩き折ろうと自身の刀を振り上げます。
「いったぃ……あーもう…折角の羽織が台無し……」
考えるより速く、体が動いていました。
受け流しの体勢を取ったものの衝撃は殺しきれず、結果的にAは左の肩口に刃を食い込ませることになってしまいました。
大太刀の腹を蹴って相手の体勢を崩して斬り伏せ、最後に残っていた太刀をまだ力の入る右手一本で力任せに叩き斬りました。
「いや、久々にいい運動したわぁ……さて、確認確認っと。」
Aは残った亡骸がきちんと死んでいるか一つ一つ確認してから、側の樹に凭れ掛かりました。手には先程庇った刀が二振り、しっかりと握られていました。
「貴方達は…無事みたいね。よかった…」
二振を鞘に収め、大事そうに抱え直しました。
気がつけば日は大分傾き、辺りは朱色に染まりつつあります。
小夜ちゃん、ちゃんと辿り着けたかなぁ？
そういえば屋敷の方向どっちだろ……戦ってたら方向感覚なくなっちゃうのよね。
ぼーっといろいろなことを考えていると、畑仕事に林での全力疾走に戦闘、これらの疲れのせいかウトウトし始めてしまいました。
いいや、後できっと小夜ちゃんが三日月あたりを連れてきてくれるだろうし、少し寝よう。
そう決めたAは木の根元にストンと腰掛け二振りの刀を抱き枕代わりに一眠りすることにしました。
「ちょっと疲れたし…少しくらい、いいよ、ね？……おやすみ……」
それに応えるようにカタリと刀達は揺れるのでした。
拾弐。あたし、なんだか安心するんですっ！！→←拾。あたし、守ったり隠れたりは苦手なんですけどっ！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
