運命７ ページ8
それから化け物が姿を現すこともなく私と風丸くんは2人で出かけたり風丸くんの部活の試合を応援しに行ったりしていた。
そして、今日また試合があるそうで、私もついていった。
ボールを追いかける風丸くんはとてもかっこよくて、あぁ、好きだなぁ、と思ってしまう。
ホイッスルがなり、皆がベンチに集まって行くのをみて休憩なのだと察し、ぴょん、と観客席からジャンプしてフィールドに降りる。
｢風丸くん!!｣
名前を呼ぶと風丸くんだけでなく他の人たちも私をみてきた。
｢か、風丸、あの銀髪の美人誰なんだよ?!｣
｢風丸の彼女だったりしてな｣
ピンクの坊主頭の人とゴーグルマントという珍妙な格好をした人が私を指さして言っている。
私はそれを無視して風丸くんに抱きついた。
風丸くんは驚きながらも抱き留めてくれた。
そしてざわめく周り。
｢A、観客席から降りてきちゃダメだろ｣
私の肩を持って目をのぞき込みながら言う彼にふふ、と笑いを零してまた抱きつく。
｢休憩ってわかったらすぐにかっこよかったって伝えたくて｣
そう言うと風丸くんは顔を赤くして馬鹿、と呟いた。
｢俺たち空気だな｣
｢やっぱり彼女なのか｣
｢まさか風丸に彼女がいたとはな｣
ヒソヒソと周りが言っているのを聞き流し、風丸くんの胸に顔を埋める。
風丸くんはくすぐったそうに身をよじったかと思いきや、バッと私を引き離す。
｢俺、汗臭いからだめだ!!｣
しん、と周りも私も黙り込み、風丸くんを見つめると風丸くんは私から目を逸らした。
｢汗臭くないわ、いつもいい匂いだよ!!私の落ち着く匂い!!｣
目を逸らされたことにもやっとして頬をふくらませてムキになって言うと、風丸くんだけでなく周りも赤くなっていた。
(あれ、なんだか私変態みたいじゃない)
自分の言った台詞を思い出すとすぐに頬が熱くなる。
｢馬鹿｣
風丸くんの声が聞こえてすぐ、暖かい落ち着く匂いに包まれる。
抱き締められているのに気づき、嬉しくなって抱きしめ返すと周りの人たちにそろそろ休憩が終わると言われ、渋々離れて観客席に戻って大人しく観た。
そして試合が終わって風丸くんと手を繋いで公園に寄り道をする。
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作者名：ひさめ | 作成日時：2018年7月6日 17時
