運命【風丸一郎太】 (ページ6)

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運命５ページ6

何度目かの化け物との戦い。

はぁはぁ、と前よりも早めに体力が無くなり肩で息をしながら額の汗を拭う。

｢これで、最後ッ!!｣

地面を蹴り、両手で太刀を振って化け物を切ると、化け物はぎゃぁぁあ、と叫んで灰になる。

太刀を地面にだん、と突き刺し、それを杖にして凭れるようにしゃがみこむ。

｢お疲れ様、A｣

私の肩を優しく叩く風丸くんに、精一杯の笑みを向ける。

その瞬間、私の目の前に2年ぶりに見る美しい少女が現れた。

｢久しぶりね、A｣

にこ、と笑顔までもが美しい少女に見惚れる私と驚いたように目を丸くする風丸くん。

｢化け物倒しももうすぐ終わるわ。貴女の頑張りのおかげでね。
もう少しで私たちの使命が終わる｣

私の髪に指を通しながら嬉しそうに言う彼女の次の言葉を待つ。

｢あと少しだからって時間をもらったの。...やっと、ちゃんと貴女を撫でてあげれる、抱きしめてあげれる｣

涙を目に溜めて、私を引き寄せて抱きしめ、髪を撫でるように頭を撫でる彼女に、私は懐かしく感じて涙を零した。

｢おか...さ...？｣

おかあさん、そう言ったつもりだが、嗚咽に紛れてかき消される。
が、彼女には声が届いていたのか、溜めていた涙が頬を伝って何度も頷いた。