運命【風丸一郎太】 (ページ5)

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運命４ページ5

私は最近体の調子がおかしいことに気がついていた。

太刀を振るう力が前よりも無くなっているのだ。
前は片手で軽々と振り回していた太刀が今では両手で持たなきゃ持ち上がらなくなっている。

それだけでなく、体が重く感じる。
すぐに避けれていた化け物の攻撃をギリギリで避けれるが頬を掠めていたり。

その変化を風丸くんにも知られていた。

｢無理しないでくれ、...｣

｢...ごめんね｣

眉を寄せて苦しそうに言う彼に、私は笑いながら謝ることしか出来なかった。

何故私はこんなにも化け物退治を続けているのか、私にもわからない。
あの少女に言われたというだけなら、すぐに辞めているはず。

辞めちゃダメ、倒し切らなきゃだめ、そう何故か思ってしまうんだ。

それでも心配をかけてしまうことが哀しくて辛くて、唇を噛んで耐えることしかできない。
そんな私を優しく抱きしめてくれる風丸くんに甘えることしか出来ない。

風丸くん、と呼ぶと眉を寄せて哀しそうだけれど優しく微笑む彼。

愛しい。
好き、大好き。

言葉にする代わりに、ぎゅっと抱き締める腕に力を込める。

風丸くんも何も言わず抱き返してくれ、心地いい温かさが私の体に広がって幸せな気持ちにしてくれる。

____幸せな日々が無くなる運命だということに気付かぬまま。