運命【風丸一郎太】 (ページ4)

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運命３ページ4

その日から毎日風丸くんと話すようになり、私も外に出るようになっていた。

といっても、ほんの数分だとか挨拶を交わす程度だけれど。

風丸くんはサッカーが好きなようで、毎回サッカーの話をしてくれた。
そして、さり気ない優しさだとか気遣いができるいい人ということを知った。

最近、化け物が風丸くんの前でも出てくるようになってきた。
風丸くんと話していると、空間がぐにゃりと歪む感じがしたと思ったら目の前に化け物がいたり。

風丸くんも化け物を見るのに慣れてしまい、私の邪魔にならないように後ろに下がっていてくれたり。

｢Aってさ、なんか綺麗だよな｣

突然の爆弾発言にむせると、風丸くんは優しく背中をさすってくれた。
むせたのは貴方のせいなんだけどね。

咳をし終わり、風丸くんの方に顔を向けて口を開く。

｢私は風丸くんのが綺麗だと思う｣

｢っ...｣

ボッと一気に顔が赤くなる風丸くんに釣られて私も頬が熱くなるのがわかり、顔を逸らして忘れて、と伝えると風丸くんはおう、と頷いてくれた。

｢そういえばさ、そろそろ教えてくれないか？｣

化け物のことを私の知ること全て教えると前に言ってから大分日が経った。
話そうと思っていても邪魔が入ったり時間がなかったりで話せていなかった。

ふぅ、と息を吐いて、13歳の頃のことから話していく。

・

・

｢じゃあ、自分がどうして化け物が見えるのか、倒したり太刀を出したりできるのかわからないんだな、
まぁ、倒しきったら教えてくれるって言ってたんだろ？
ならさっさと倒して聞いたらいいんだよな｣

自分のことのように考えて意見を言う彼に、何故だかものすごく触れたくなり首に腕を回してそっと抱きついた。

｢え、あ、その、A？｣

慌てたように私の名前を呼ぶ彼の耳を見ると赤くなっており、照れているんだなと察し、きつく抱きしめる。

風丸くんはどうしたらいいのか迷った後、私の背に腕を回して抱き締め返してくれた。

暫く抱きしめ合い、私からそっと体を離して風丸くんの目を見つめ、微笑む。

驚いたように目を大きく開いてから、頬を染め下を向く彼に胸がぎゅっとなって額に口付け離れた。

｢い、いま...！｣

自分の額を抑え、私の顔を見ながらぱくぱくを口を開く彼にクスリと笑って身を翻して去った。

__そう、私はいつの間にか好きになっていたのだ。
優しい彼のことを。