五話 ページ6
※
「お前このままじゃ死ぬぞ」
パーカーの帽子を深く被った彼が言う。
「物騒なこと言わないでくださいよ、糸師さん」
私が彼を糸師さんと呼ぶようになってから、彼はかなりの機会私のもとへよく来るようになった。バイトが終わったすぐ、いつも同じ場所で無表情な顔を破顔することもなく中からスカイブルーの碧眼を覗かせて。
「なんで、毎回くるんですか。貴方一応超大物サッカー選手でしょ、暇なんですか」
「暇なわけねえだろ。こんな国、パスポートの更新以外でこねえよ」
「ちょっと、いくらなんでも言い過ぎですよ」
私が歩き出すと同時に彼も後ろからついてくる。
後ろからおいと声もかけられるもAは意地で足を早めるばかりで振り返らない。
返事をしないAに対して冴がため息を吐いた瞬間。
身体が壁沿いに密着した。
へ、と言う間もなく人の体温が目の前にあることを知る。所詮、又ドンというものだった。
ひっ‥と喉が空気を求めて引き攣った声を出した。しかし、眼前には糸師冴。それも鼻先が触れてしまうんじゃないかと言うところでこちらを見下ろしている。
ナニガオキタ、
眼球だけを動かすと手を彼の細く角張った手が拘束している。途端に逃げられないことを悟り、Aの身体はいとも簡単に男に拘束された。
「話を聞け」
目の前の形のいい唇が動く。
それだけでAの心臓は大きく跳ねた。
しかしこの状況では、Aが無事に逃げられるという選択肢は全てこの男が握っている。
「私が死ぬって話ですか」
「ああそうだ。あの後、お前のことについて調べさせてもらった」
コイツ‥と思ったが今は心の中で悪態をつく。
「お前、本当に親が戻ってくるとでも思ってるのか？」
確信をついた質問だった。
途端にAの表情が険しくなる。それをひと目見た冴は遠慮することもなくズカズカとAのことについて喋り出した。
「お前の両親共々幼い時に蒸発。終いにはそのあと離婚していて、父方に至っては結婚して子持ちになってやがる」
最悪だろ？と吐き捨てた冴にAの知っていたようなわかっていても尚辛そうな表情が無理やり吐き出される。
「お願い‥‥離して」
「なんなら警察にお前のことに引き渡しても良いんだぞ。お前がされたことは立派な虐待だ。」
この国じゃ、虐待された子供は警察に連絡を入れることになってるらしいからな、と彼は付け足した。
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なぎねぎ - すごくおもしろかったです。女の子の性格がとても好きでした。 (1月12日 20時) (
レス) @page32 id: eca7262407 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 完結おめでとうございます！題名からビックリし惹かれまして読み進めていったらこんなにも面白い作品とは思いませんでした！！ビックリ展開多かったですけどとても面白かったです！お疲れ様でした (2023年4月1日 6時) (レス) @page32 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
Joke(プロフ) - 完結おめでとうごさいます！このお話が出てきたときからのファンで、友達にも紹介するほど好きだったので完結してとても嬉しかったです！改めて完結おめでとうごさいます！ (2023年3月28日 1時) (レス) id: 61b77d541b (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉ずっと陰ながら応援させていただいてました！！！この作品滅茶苦茶好きです！改めておめでとうございます！ (2023年3月18日 11時) (レス) @page32 id: 12afbbff79 (このIDを非表示/違反報告)
ちわこ(プロフ) - ひやああああ面白いっ！！更新楽しみにしてます！！！ (2023年3月13日 23時) (レス) @page29 id: 743e31f7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゃじゃー麺 | 作成日時：2022年12月19日 16時
