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十六話 ページ18

場所は打って変わって大きな公園に出る。

「おかあさん!ゆきだ!ゆき!」
「お 本当だ!綺麗だね」

 少し同じ場所で退屈しはじめいた翡翠を連れて、綺麗なイルミネーションが彩る広場に出てみる。上からはキラキラと光に反射して鈍く光る雪が降ってきて、幻想的な雰囲気に心躍らせた。

 手を繋いでいる翡翠は隣でアイスクリームを食べている。
 こんなに寒いのに大丈夫かなぁと思ったがどうしても、と涙目で強請られ、元来子供に弱いAは抵抗する術もなく翡翠に買ってあげた。

 風邪に引いちゃわないかな、おねしょも心配だし、もうそろそろ帰ろうとした時


「A‥?」


 低い声に名前を呼ばれた。
 ぎょっとして振り返る。
 恐らく10メートルほど離れたところで男がこちらを見ていた。

 少ししか見ていないものの見覚えのあるルックスと顔立ちにAの表情が歪む。
 この声の主をAはよく知っている。
 数年前、冴と共にスペインに旅立つ前たまに顔を合わせていた程度だが、お互いのことは完全に認識していた。


「凛くん‥‥」


 ボソッと呟いた声は心なしか震えていた。
 苦虫を噛んだような顔で呻くよう、Aは記憶と言う名の水底に重い石をつけて沈めた過去を刺激する一因の名前をか細く紡ぐ。

 Aの手が震えていることに気がついたのか、翡翠が心配するように覗き込んできた。

「おかあさん、あの人だぁれ」
「‥‥お父さんの弟くんよ」
 
 白い息を吐きながら翡翠は凛を大きな瞳でパチパチとさせて「こんにちはー!」と手を振る。

 凛はズンズンとこちらへ近づいてくると、じっとAを見た後横目で翡翠を見た。
 その表情が一瞬困惑を見せたが、また前と同じ鋭い無表情に戻る。


「翡翠、イルミネーションが始まるみたいよ。遊んできたら?」

 最低限悟られないようにAはニコリと形の良い笑みで翡翠に施した。翡翠もAに共鳴するようにうん!と頬を染めて笑うと駆け足でイルミネーションの所に向かった。


「‥久しぶりだね」


 Aは少し離れた距離の男へ声をかける。男は遠目からみてかなりの美上手だ。白い息を吐いているだけでも絵になる。

 こちらを見て離さない美上手の、糸師凛はこちらの声をに聞き取れたのか唇を動かした。


「よぉ。元気そうだな」


 Aの黒い目と凛の双眼が開戦の狼煙を上げるようにぶつかった。

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なぎねぎ - すごくおもしろかったです。女の子の性格がとても好きでした。 (1月12日 20時) (レス) @page32 id: eca7262407 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 完結おめでとうございます!題名からビックリし惹かれまして読み進めていったらこんなにも面白い作品とは思いませんでした!!ビックリ展開多かったですけどとても面白かったです!お疲れ様でした (2023年4月1日 6時) (レス) @page32 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
Joke(プロフ) - 完結おめでとうごさいます!このお話が出てきたときからのファンで、友達にも紹介するほど好きだったので完結してとても嬉しかったです!改めて完結おめでとうごさいます! (2023年3月28日 1時) (レス) id: 61b77d541b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉ずっと陰ながら応援させていただいてました!!!この作品滅茶苦茶好きです!改めておめでとうございます! (2023年3月18日 11時) (レス) @page32 id: 12afbbff79 (このIDを非表示/違反報告)
ちわこ(プロフ) - ひやああああ面白いっ!!更新楽しみにしてます!!! (2023年3月13日 23時) (レス) @page29 id: 743e31f7de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じゃじゃー麺 | 作成日時:2022年12月19日 16時

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