十四話 糸師冴目線 最後 ページ16
同じベットで迎えた朝、Aは何も言わなかった。冴を放り出すような発言も逆に縛るような言葉も言わなかった。ただただ、冴の方を見てへらっと歯痒いように笑った。
それが冴にとっては心の支えであり、冴もAの優しさに依存していた。
だからこの関係が続いたってAは許してくれると思っていた。冴もまた縋るようにAを求めた。
互いに愛情を与え合い、片時も離れず寄り添っていた二人が恋人になるのに時間はかからなかった。ただし、そう思っていたのは冴だけという事実が、二人の関係をこの上なく難解なものにしてしまった原因である。
冴は肝心なことに、愛しているということをAに伝えても「付き合おう」という言葉がなかったためAは自分が都合良い女としか思っていないことに気づいていない。致命的で痛い要因だった。
「は？」
だからか、あるの日Aを逃してしまったのである。
長い海外遠征の際に家に戻って冴が見たのはAどころか彼女の私物でさえも消えた真っ黒なもぬけの殻の部屋だった。
「あいつ‥どこ行って‥‥あ゛？」
急いで取り出した携帯からAの連絡先を叩けば、ツーツーという音声から機械的な女性の声に切り替わる。
『お掛けになった電話番号はー、、現在電源が入ってないか、電波の届かない場所に‥、』
冴はチッと舌打ちした後勢いよく電話を切った。
しまった、やられた。
昨日のAのとの最後の通話を思い返して冴はまたもや舌を打つ。
「友達の所に行ってくる」というのは多分ウソだ。部屋に荷物さっぱり置いていないのがその答えである。
全て仕組まれていた。
冴はもちろんのことだが絶対的にAのことを信頼している。
だから家の用途も冴のスケジューリングさえも全て任せていた。
このタイミングでなぜ自分の元へ離れていくのか冴には検討もつかない。
状況からみて、冴の周りの連中にはこのことを話していないようだった。彼女の独断の上での行動に冴は今更ながら驚かされる。
「今まで、自分で行動することなんて滅多になかったじゃねぇか‥‥」
無論逃す気などなかった。
「絶対に捕まえる」
糸師冴がAに向けている執着は底が知れない。やっと手に入った細胞レベルに好む女だ。どこぞの馬の骨に横取りされるくらいなら既成事実でも作ってでも取り戻す。
決意に揺れる冴の瞳がぐらぐらと煮詰められていた。
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なぎねぎ - すごくおもしろかったです。女の子の性格がとても好きでした。 (1月12日 20時) (
レス) @page32 id: eca7262407 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 完結おめでとうございます！題名からビックリし惹かれまして読み進めていったらこんなにも面白い作品とは思いませんでした！！ビックリ展開多かったですけどとても面白かったです！お疲れ様でした (2023年4月1日 6時) (レス) @page32 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
Joke(プロフ) - 完結おめでとうごさいます！このお話が出てきたときからのファンで、友達にも紹介するほど好きだったので完結してとても嬉しかったです！改めて完結おめでとうごさいます！ (2023年3月28日 1時) (レス) id: 61b77d541b (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉ずっと陰ながら応援させていただいてました！！！この作品滅茶苦茶好きです！改めておめでとうございます！ (2023年3月18日 11時) (レス) @page32 id: 12afbbff79 (このIDを非表示/違反報告)
ちわこ(プロフ) - ひやああああ面白いっ！！更新楽しみにしてます！！！ (2023年3月13日 23時) (レス) @page29 id: 743e31f7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゃじゃー麺 | 作成日時：2022年12月19日 16時
