【HQ】私の知らない昼神くん

48話 ページ49

.






「時田さんも綺麗だよ」







うん…これは私の幻聴



なんて都合の良い頭だ…








「幻聴じゃないよ」



『そうそう幻聴じゃ…ない！？』









えっえっ？



驚き慌てていると









「お手をどうぞ、お嬢様」







段差を降りた昼神くんがこちらに手を差し出す






『く、くるしゅうない…？』




「あはは、"ありがとう" でいいんじゃない？」






あ、子どもぽい笑顔…





コロコロ変わる色んな笑い方に
胸がぎゅーっとなって好きだなあて思う。







…そっか、私昔に恋しているんじゃなくて



今、目の前にいる昼神くんに恋しているんだ








遠慮がちに手を重ねるとそのまま手を引いて歩き出した





周りの "可愛らしい" とか "若いね〜" とか

"やるなぁ！兄ちゃん！" とか色んな声が飛び交う





手を引かれるのも、周りの声にも恥ずかしくて下を向く





ねぇ、昼神くんは今どんな顔してるの？
どんなこと思っているの？







平気な顔？




なんとも思ってない？




少し恥ずかしい？



私と同じ気持ち？




相反する気持ちの中でゆらゆら揺れ動く




そんな私の心中が伝わったのか察したのか
昼神くんがこちらを振り返った






「俺、時田さんが好きだよ


　時田さんさえ良ければ付き合ってくれる？」









しゅわしゅわ〜！





まるでビールを喉に通したように視界が弾け飛んだ







.

作者から→←47話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す