【ヒプマイ】碧棺の“元“恋人ですが？

Story,05 ページ6

左「おい」

貴「私、煙草嫌いだって言ったよね？
それともこの数年、色んな女と遊んでたせいで忘れた？」

左「・・・・」

私から煙草の箱を受け取ると上着のポケットへと仕舞った。
女からのお願いだからなのか、それとも私だからなのか・・・。

貴「それで？追い掛けてまで私を捕まえに来たんだから用件はあるって事だよね？はっきり話して」

左「・・・俺と、もう一度付き合わねぇか？A」

左馬刻からの言葉に目を見開き向いてしまった。声も出ない、次の行動をどうすればいいのかわからない。ふとあの時、忘れた筈の記憶は、はっきりと脳裏に蘇ってきた。

貴「意味わからないんだけど」

左「言葉のまんまだ」

貴「あんたから突き放しておいて今更よりを戻すなんて馬鹿のす」

左「あん時の俺はガキだったんだ」

貴「ガキで済ませようだなんて！・・・・」

あまりの急な事で言葉も出なくなってしまった。
暫く車内に沈黙が続く。

貴「悪いけど、私はもう恋愛はしないって決めてるから」

車のドアを開き外へと出る。
閉めようとしたが上半身をかがめ「それと」と声をかければ左馬刻と目が合う。

貴「四年前の事、許す気はないから。もう関わらないで」

バンっとドアを閉め会社の方へ歩き出した。
二日連続であいつに会ってしまった事、それと、たった一回名前を言われただけで昔に味わった嬉しい感覚を思い出してしまった事に苛立ちながら雑踏の中を歩いたのだった。

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