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「ゆっくりお風呂入ってたのに、ごめんね…」
「いやっ、俺こそ心配かけてごめん…。まさか一時間も経ってたなんて…」
俺が急いで脱衣所から出ると、入り口から入ってすぐにあった机の上が、色とりどりの料理で彩られていた。
そこに一人座っていた神月さんが眉を下げて笑うので、俺は大袈裟なくらい首を振って彼女に謝る。
どうやら俺は、考え事をしているうちにかなりの時間をあの露天風呂で過ごしていたらしい。
六時に準備を頼んでいた料理が完璧に並び、湯気の立つ白米やだしの香りが、お風呂から出てきた俺を迎えてくれていた。
向かい合わせに座って食べる晩御飯。豪華な料理が華やかさを演出してくれているのは勿論、耳に髪をかけ、美味しいと笑う神月さんがより一層この時間を贅沢なものにしてくれる。
「はぁ…すごく幸せな気持ちになるなぁ…」
「神月さんが嬉しそうで、俺も嬉しいよ」
「えへへ…基山君と過ごす時間、やっぱり大好き」
照れ笑いを浮かべる彼女に、俺の胸が熱くなる。
「…俺も好き。神月さんと一緒に居る時が一番幸せだ」
でも、この柔らかで上品な空間に居るからだろうか。それとも、少し大人びて見える彼女が居るからか。
俺は恥ずかしげもなくそんな言葉を彼女に伝えた。反対に彼女が恥ずかしそうにする。
そんな雰囲気に流されるまま、俺は一時間もかけて悩んだことを無駄にしないためにも、長らく留めていた気持ちを続けて言った。
「神月さん。俺達さ…付き合い始めて、もう二ヶ月以上経つよね」
「う、うん。なんだかすごくあっという間だよね」
「あの…もし良かったら、神月さんのこと…名前で呼ばせてくれないかな…？」
俺は慎重に、じっくりとその一文を紡ぎだした。彼女が違和感なんかを感じないように、そっと考えた。
でも彼女は予想外に、少しも表情を固くすることなく、いつもの柔らかな笑顔を俺に投げ掛けてくれた。
「駄目だなんて言うわけないよ。基山君がそう思ってくれてるなら、喜んで呼んで欲しい。…私も、下の名前で呼んでいい？」
俺は同じように、何の滞りもなく頷く。案外、難しいことではなかったんだ。
それから俺は、彼女のくれた許可に答えるように、初めてその文字の並びを口にした。
「…A」
「何、ヒロト君？」
可愛らしさに混じった、大人びた笑顔。その瞬間の胸の鼓動は、全身に強く響き渡った。
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輝(プロフ) - 布都御霊さん» コメントありがとうございます。最後まで完結できたのは皆様のお陰です！温かいお声、本当にありがとうございます(*^^*)キュンキュンできるようなお話を書けるようこれからも精進して参ります！ (2019年6月24日 20時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
布都御霊(プロフ) - 「君に、初めまして」完結おめでとうございます。何度も泣かせていただきました(泣)もう、この2人の初々しい見てるだけでキュンキュンするようなお話が見れなくなるのかと考えるとまた涙がぁ〜。(/_;) (2019年6月17日 3時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 明日香さん» いつもコメントありがとうございます(^^)出来るだけ早く更新できるよう頑張ります…！ (2018年8月5日 7時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 久しぶりの更新ですね...！ずっと待ってました！！ありがとうございます^ ^今回も楽しく読ませていただきました。次回の更新も楽しみにしていますね！ (2018年7月31日 20時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 大丈夫ですよ^^更新されるまで、気長にずっと待ち続けます。応援してますね^^ (2018年6月18日 22時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2018年3月26日 16時
