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「こんなところで会うとはな」
一瞬言葉が詰まったのは、彼女の表情が以前に比べてずっと優しかったからだ。
私の腕を掴んだあの鋭くて冷たい目は無くて。それはもう、私の中での彼女の印象を一瞬で変えてしまう程に。
「あ、えっと…」
あまりに突然だし、八神さんとは前に会ったのが初めてで、それっきり今日まで顔を合わせることなんて無かったから。
何を話すべきなのか、どう振舞うのが適当なのか分からなくて、私はごめんなさいと謝った。
「その、緊張してしまって…二人でお話をするのは、初めてだから」
「確かにそうだな。だが貴方が謝る必要はないだろう？」
容姿に似合わない、と言うと失礼かもしれない。でもその男勝りとも言える迷いの無い話し方が、さらに彼女の凛とした姿を際立たせる。
「風丸は一緒じゃないのか」
「あ、うん。私お手洗いに行ってたところで…。八神さんは、今日も学園長と…」
いや、八神さんの前ならお父さんと言うべきかな？少し口ごもると、ふっと彼女は笑った。
「どちらでもいい、気にするな。お父様は観戦室に居らっしゃる。私はそこへ向かうところだった」
「そうなんだ。じゃあ、そろそろ行かないといけないんじゃないかな…？試合開始まであと十分位しか…」
私が腕時計を確認しようとすると、八神さんは待つように私を制す。顔を上げると、その瞳が真っ直ぐ私に向けられていた。
「貴方に言わなければならないことがある」
「えっ…」
突然の申し出に、その声のトーンも相まって私はつい声を上ずらせた。
てっきり私は何か基山君関係の事で、その上私にはあまり良くないことを告げられると思い込んでいた。
「この前はあんなに声を荒げて悪かった。腕を掴んでしまったことも、謝る」
「…え？」
だから、予想外の事の連鎖に私は驚くしかなくて。本来一番に返すべき言葉の前に、そんな声を上げてしまった。
「いや、そんな…！私も、まだ基山君のこと何も知らなかったのに、あんな出しゃばった事言っちゃって…ごめんなさい」
「…優しいんだな」
小さく微笑む彼女を見て、私は恥ずかしくて視線を落とす。
「…貴方のように、私も一歩踏み出してみることにしたんだ」
「八神さん…」
「またいつか、改めて話をしよう」
彼女はそう言って私に背を向けると、人混みの中を真っ直ぐに歩いて行った。
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輝(プロフ) - 布都御霊さん» コメントありがとうございます。最後まで完結できたのは皆様のお陰です！温かいお声、本当にありがとうございます(*^^*)キュンキュンできるようなお話を書けるようこれからも精進して参ります！ (2019年6月24日 20時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
布都御霊(プロフ) - 「君に、初めまして」完結おめでとうございます。何度も泣かせていただきました(泣)もう、この2人の初々しい見てるだけでキュンキュンするようなお話が見れなくなるのかと考えるとまた涙がぁ〜。(/_;) (2019年6月17日 3時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 明日香さん» いつもコメントありがとうございます(^^)出来るだけ早く更新できるよう頑張ります…！ (2018年8月5日 7時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 久しぶりの更新ですね...！ずっと待ってました！！ありがとうございます^ ^今回も楽しく読ませていただきました。次回の更新も楽しみにしていますね！ (2018年7月31日 20時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 大丈夫ですよ^^更新されるまで、気長にずっと待ち続けます。応援してますね^^ (2018年6月18日 22時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2018年3月26日 16時
