◇ ページ8
「基山君、おはよーっ」
「！…あぁ、おはよう」
「朝からテスト勉強？さすがだねっ」
一時間程過ぎてから、ぞろぞろと他の生徒達が教室に入ってきた。女の子達は俺を見るなり、すごいすごいと囃し立てて机の周りを囲み出す。
…勉強はここまでかな。俺はそっと参考書を閉じて、神月さんの方に目を向けた。
女の子達の間から見える神月さんは、まだシャーペンを動かし続けている。そんな彼女の周りには、誰も居なかった。
「…」
彼女だって褒められて良いはずだ。むしろ、彼女の方が褒められるべきなのに。
誰も彼女を知らない。知ろうともしないのに、見えたところだけを見て傷付ける。
通り過ぎる子は神月さんに見向きもしないで、 俺を見るなり寄ってくる。
…無性に腹が立った。
「神月さん」
「…どうしたの？」
周りを気にするように、神月さんはいつもよりずっと小さな声でそう言った。表情も強張っていて、怯えているような。
神月さんに集まった女の子達の視線を遮るように、俺は立ち上がって彼女の後ろに立つ。それから体を密着させるように、彼女の机を覗き込んだ。
「分からないところとか…無い？」
「う、うん…」
「そっか。…俺が一緒に勉強しようって誘ったんだ。遠慮しないで何でも聞いてね」
「えっ…？」
「神月さんが居てくれた方が、俺は勉強捗るから。お礼に、勉強くらいいくらでも教えるよ」
背後から、こそこそ小さい声が聞こえる。どれも俺の言葉の真偽を疑うようなものばかり。
「本当に基山君が…？」
「神月さんが無理矢理呼んだだけじゃない…？」
「ヒロト君が神月さんを誘うなんてあり得ないもん…」
神月さんが、そっと俯く。俺はそっとその華奢な肩に手を置いて、少しだけ俺の方に抱き寄せた。神月さんの視線がこちらに向くのと同じ様に、女の子達の視線が俺の背中に集中するを感じる。
「ヒ、ヒロト君…？」
「…君達はさ。神月さんの何を知っててそういうこと言ってるの？」
「っ…！」
他人にこんなハッキリと、自分の想いを話したのはいつ振りだろう。もしかしたら初めてかもしれない。
「俺から神月さんを引き剥がそうとしたって、俺が神月さんから離れないよ」
不思議と、怖さなんて無かった。
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狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
