◇ ページ6
『もしもし』
「あっ、神月さん？」
『よかった。今日はもう電話できないかと思って…』
三回目のコールが鳴り終わる前に、その声は聞こえた。優しくて、柔らかい神月さんのその声を聞きたかたったんだ。
神月さんに電話しようとスマホを開いて、神月さんから送られてきていたメッセージに気付いた俺は、彼女に了承も得ずに通話ボタンを押した。
「メッセージ、見れなくてごめん…」
『ううん。こちらこそ、忙しかったみたいなのにわざわざごめんね』
＿＿夜、電話できる？
俺が学校に居るうちに届いていたらしいメッセージには、玲名からの連絡に気を取られて、全然気付かなかった。
折角神月さんが送ってくれたのに…もう少しで、気付かず寝てしまうところだった。そしたらきっと、明日の朝酷く落ち込んだだろう。
「実は、俺も神月さんに電話したくてさ」
『そうなの？』
「うん。…神月さんの声が、聞きたくなったって言うか」
『…えへへ、本当に？』
照れたように笑う彼女の声に頷いて、俺は分厚い参考書を何冊も本棚から取り出した。自分で言っておきながら、微かに頬が熱い。
「…それから、次の試合の話もしようと思って」
だから、誤魔化すように別の理由を彼女に伝えて。
『あっ、雷門との試合だよね？私も一郎太も見に行くよ』
「本当？…よかった」
『一郎太は多分、雷門側の席に座っちゃうけど…私は、ちゃんと永世の方に座るからね』
「…ありがとう」
彼女の言葉に、また体温が上がった。
落ち着けるように深く息を吸って、机に参考書を広げる。すると、でも、と神月さんが声を上げた。
『テストもあるのに…忙しいね』
俺はその言葉にピクッと反応する。父さんの冷たい笑顔が、頭に浮かび上がった。
「…うん、そうだね」
俺は視線を参考書に移し、大量の付箋が貼られたページをめくって目当ての単元を探す。電話の音をスピーカーに切り替えると、神月さんがそこに居るように声が響いた。
『でも基山君が頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ…』
何かを抑え込むような、神月さんの声が。
俺を頼って欲しいから、君を守ってあげたいから。
「…俺、絶対誰にも負けないよ」
神月さんを、離したくなんか無い。
＿＿期末テストで、全教科学年一位。そして今回の大会優勝…お前なら勿論、出来ますよね？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
