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神月さんはそう言うと、さっき通ったであろう廊下をまた戻っていく。手間をかけるなと、内心申し訳なく思って、俺は少し間を置いてから彼女を引き留めた。
「そんな長く話すつもりはないんだ。神月さんが良いなら、ここでも…」
「…そう？なら、今聞くよ」
神月さんが俺に向き直る。交わり合う視線に体温の上昇を感じつつ、俺は彼女の瞳から目を離さず口を開いた。
「気になってたことなんだけど…嫌なら、答えなくて良いから」
「…わかった」
俺の言葉に何か悟ったのか、彼女の表情が少し強ばる。
「神月さん、中学の時に…」
そこまで言って、俺は口を閉じた。この言葉が音となって耳に入ってくると気付く、違和感。
知り合って間もない人の過去を掘り返すことは、その人を傷付けない方法なのだろうか？逆に、やっと塞がった傷を、また開いてしまうんじゃないだろうか。
「…いや。やっぱり、何でもない」
「…？気になるよー、そこまで言われたら」
眉を下げて笑う神月さんの表情には、何処と無く安心の色が滲んでいて。
その笑顔を見ると、今はまだ、この距離のままで良いのかなと思った。
「わざわざ私を探しに来てくれたんでしょ？本当に…何もないの？」
「うん。…聞くのは、今じゃなくても良いかなって」
「じゃあ、次聞かれた時はちゃんと答えられるようにしとかなきゃね」
「あー…うん。いつになるか分からないけど…」
「えへへ。次は私から聞くかもしれないからね」
そう言って、神月さんはブレザーのポケットから鍵を取り出した。一緒に、折り畳まれた紙が、風に流されながらふわふわと落ちていく。
神月さんの足元に落ちたそれを、俺は拾い上げる。光で透けて見えた、可愛らしい字体で書かれた『天体観測』の文字に、俺は目を奪われた。
「あっ、ごめん。ありがとう」
「あ、いや…これくらい気にしないで。…ねぇ、天体観測するの？」
気になって、そう口にする。すると彼女はにっこりしながら頷いて、紙を開いて見せてくれた。
コピー用紙に手書きで書かれた、行き先の住所と地図。イラストなどは殆ど無い。良く言えばシンプルで分かりやすいけど。
「今度の土曜日、天文部の皆で行くの。一応他の部の子でも参加可能だけど…最初から誰も期待してないから、簡単なプリントしか作ってないんだ」
「それ、参加しても良いかな？」
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
