◇ ページ40
「試合中から、彼女には気付いていた。白い髪を風に揺らして、綺麗な琥珀色の瞳をキラキラと輝かせる姿が、君の言っていた…夢に現れた少女の容姿と重なったから」
「それで、試合後にわざわざ会いに行ったの？」
「いや。そのつもりは無かった。ただ、晴矢が観客席に置き忘れたというタオルを取りに行っただけだったんだ。その途中で、前の席に一人座っている彼女を見つけた」
風介は顎に手を添えて、その時の情景を思い出すように視線を上にあげた。そんな彼の姿を見つめながら、俺はクッションを抱く力を強める。
俺よりも先に、風介は神月さんと出会っていたなんて…その時、彼女に出会ったことを俺に話してくれれば、俺はもっと早く神月さんと知り合えたはずだ。
「正直、近くで見たときは驚いたよ」
「綺麗だったから？」
「…いや、その逆だ。彼女の目に、フィールドから見ていたときの輝きは一切無かった。帽子で隠しているつもりだったのだろうが、髪は所々が極端に短くてな」
とても綺麗とは言えなかった。風介はそう続けると、俺の様子を伺うように、黙って此方に視線を向けた。
「彼女は私に会場に残りたいような趣旨のことを言ってな。私は変な子だと思った。だが…」
「だが…？」
「彼女がフィールドの方に目を向けた瞬間、夕日が彼女の顔を照らしたんだ」
「その横顔は、今でも覚えている。…それまで見たことが無かったよ、あんなに美しい人は」
風介の言葉で、俺は夢の少女の姿を思い出した。風介は俺の話を聞いて、神月さんとその少女を重ね合わせたのだろう。
彼は滅多に美しいなんて甘い言葉は使わない。そんな人が言うのだから、きっと神月さんの横顔は、息を呑むような美しさだったんだろう。
「そして私は、夢に現れる少女が彼女であることを確信した。だから君に無許可で、君が話してくれた夢の話をしたんだ。まぁ、匿名でだけどね」
「そう、なんだ…」
「…意外だな。てっきりすぐにでも叱られると思った」
いや、と首を振り、俺は神月さんの嬉しそうな表情を思い出す。
＿＿あの話を聞いたとき、運命みたいで、素敵だなって思った。
＿＿もしそれが基山君の話なら、いつか会えたりするのかなー…って、思ったり。
「神月さん、喜んでたんだ。お互い会ったこと無くても、そんな昔から俺に知ってもらえていたことが、幸せだって」
「…ほう」
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
