【ヒロアカ】依存系幼馴染み【短編】 (ページ4)

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依存４ページ4

思ったよりも激しかった川は、簡単に両親を飲み込んでいく。

＿＿＿＿＿＿誰も、動けなかった。

いつも見栄はってるかっちゃんも。
ネガティヴだけどヒーロー精神が高いいずくんも。

大人も。

私は見てる事しか出来なかった。

暫く放心状態が続き、気付いたら病院にいた。

「A…気付いた？」

私の両隣には、二人がいた。
いずくんは、私の顔を覗いて心配そうな表情を浮かべ、反対側のかっちゃんは、頭に手を乗せてくれていた。

「……いず…くん…？……かっ…ちゃ…？」

すぐに理解ができなかった。
何故、私はここにいるのだろうか。
何故、二人は気の毒そうにしているのだろうか。
何故、大人は泣きそうな顔をしているのだろうか。

疑問しか浮かばなかった。

そして、思い出す。

「…ああ…お父さんも…お母さんも…この世にいないんだ…」

私の声に感情はこもっておらず、淡々としていたという。

悲しみよりも絶望。絶望よりも＿＿＿＿自分への怒りが勝っていた。

不思議と、涙は出なかった。
ただ、私から零れたのは、たった一つの嘆きだった。

「…私も…愛してたよ…」

静かな病院には、やけにその声は響いた。

全員がハッとしたような顔になり、女は泣き、男は女を抱きしめながら、下唇を噛み締めていた。

両隣の二人は、私を包むように、抱いてくれた。

頭を撫で、背中をさすってくれた。

放心状態の中聞こえたのは、声だった。
両耳から、同時に。

「ごめんね」
「ごめんな」

漸くそこで、涙が溢れた。