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『無茶は、やめてください。松川さん。』
私は俯いたままそう呟いた。
松「別に無茶じゃないよ。
普通に頑張ってる人が悪く言われんのは腹立っただけ。」
その声はやっぱり強く揺るぎのない声だった。
私には重すぎるぐらい強い声。
『…お気持ちだけで結構です。』
私は小さくそう零した。
その声が情けなく揺れる。
痛いのに、苦しいのに、それは涙に変わってはくれなかった。
涙で流れてはくれなかった。
重いまま私の中に募っていく。
あの日から、
「どうでもいい」と思ってしまった日から、
私は泣き方が分からないまま。
松「迷惑…だった?」
さっきより近くから聞こえる声。
松川さんが、私の傍に腰を下ろしたのが分かった。
ふわりと頭に乗る手が、いつかと同じ温かさ。
この人はあんな事があっても、ずっと変わらない。
それがすごく嬉しくて
すごく重い。
『怪我は…しちゃダメです。』
私は少しだけ顔をあげて、隣を見上げて言った。
声はまだ揺れていた。
嘘じゃない言葉を何か言わなきゃいけないと思った。
信じてくれるこの人に。
本当の気持ちを言えなくても。なにか。ほんのちょっとの本音を。
そうしなきゃ、気づかれてしまいそうで。
弱い自分に。
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にゃんたろう(プロフ) - 更新まってます、、! (2月22日 12時) (レス) @page44 id: b90ce20b9b (このIDを非表示/違反報告)
natsumican(プロフ) - 更新待っています! (2022年10月23日 1時) (レス) @page44 id: c767698059 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 続き待ってます! (2022年9月25日 16時) (レス) id: eb8cebab9c (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 続き待ってます (2022年8月11日 7時) (レス) @page44 id: b2f736a6cd (このIDを非表示/違反報告)
明 - 続きお恵みください (2022年7月31日 23時) (レス) id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hiro | 作成日時:2020年9月28日 8時