検索窓
今日:2 hit、昨日:15 hit、合計:438,171 hit

192 ページ44

.





「えー、先日、生徒の財布が盗難されるという…」



HR中。



右から左へと担任の先生の声が流れていく。



私の頭の中はさっきの英くんの言葉で頭がいっぱいだった。






最後に言われた「ごめんね。」の意味。






表情。仕草。







全部が私の脳裏から離れなかった。




いくら考えても分からない。




なんで英くんにあんな表情をさせてしまったのだろうか。




私はまた何か英くんに迷惑をかけてしまっているのだろうか。





分からない。





私はいつだって英くんの事をなにも理解できない。



分かりたいと思う気持ちとは裏腹に。



きっとさよちゃんならもっと英くんの事を理解しているんだろう。




さよちゃんに相談すれば分かるだろうか。




そんな思考が頭の中で働く反面、それを嫌がる自分がいた。





羨ましい。




ずるい。





私はどんなに羨んだって、3年の差は埋まらない。







『馬鹿だなぁ…』








私はボソッと独り言を呟いた。



別に何が悪いわけじゃないのに。



気持ちがこんなに歪む。






さ「何がぁ?」





不意にそんな声が前から降ってきた。




『わっ!?』






私はその声に少し慄いて、我に帰る。



顔を上げればいつのまにかすぐそばにさよちゃんが立っていた。




さ「凄いボーッとしてるけどどーかしたの?」



きょとんとした顔を浮かべるさよちゃん。




『え?』




あたりを見渡せば、いつのまにHRが終わっていたのかクラスはすっかり騒めいていた。



さ「体調悪い…?」



『あ、いや…ううん。大丈夫だよ。』





さっきまでの嫌な思考が脳内にチラついて、ちょっとだけさよちゃんに罪悪感を覚える。



ごめんね。ずるいとか羨ましいとか思っちゃって。



心の中で謝っておく。




さ「ならいいけど、なんか悩み事?あたしでよければ聞くよ?」




さよちゃんが私の席の前に腰掛けて言った。




さよちゃんはどこまでも優しい。




きっと応援してくれるから。




相談してみようかな…




ずるいとか羨ましいとか思ってたって、私じゃ何も分からない。



だって好きも恋も初めてだから。





『あ、その…』

_私、英くんの事が好きみたい。




そう言おうとした目が、勝手にそのシルエットを追った。



教室のドアから出て行こうとする見慣れた後ろ姿。

193→←191



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (287 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1006人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 青葉城西 , 国見英   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

hiro(プロフ) - ひよひよさん» 本っっっ当に嬉しい!!応援されたら頑張っちゃいます( ̄^ ̄)ゞ (2020年10月2日 0時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひよひよ(プロフ) - 本っっっ当毎回面白い!!更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月1日 17時) (レス) id: e32ea24965 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - ゆゆさん» 多分告った…??チャイムが邪魔さえしなければ… (2020年9月23日 22時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 国見くん…!!!絶対告った!今絶対告ったよね!!!! (2020年9月23日 21時) (レス) id: 861ee0d781 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - たかめいさん» もうちょっと上手く伏線貼れればいいんですけど、なかなか上手くいかないです…( ̄^ ̄)豚骨ラーメンの次に、塩ラーメンが好きです。 (2020年9月19日 13時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:hiro | 作成日時:2020年8月18日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。