321.【16】 ページ21
［智にぃside］
目を逸らそうとする
和を翔は逃さない。
翔「返事は？」
和「…」
翔「分からない？」
和「…」
翔「分からないんだったらいいよ。
和が雅紀にしたのと同じこと、
俺が和にするから。いいんだね？」
和は首を振っている。
翔「嫌なんだろ？自分が嫌なことは
人にもやっちゃいけないの！
雅紀に謝りなさい。」
和はポロッと涙を零した。
翔「泣いてもダメ。
ごめんなさいして。」
追い詰められた和は、翔と反対側で
心配そうに突っ立っていた雅紀のシャツを
引っ張って自分の方に寄せて、
ギュッとしがみついた。
雅「もういいよ、翔にぃ。
かずは、分かってるもんね。」
雅紀は腰にくっついた和を優しく抱きしめて
背中をさすってやっている。
翔「もう…俺にはそんなの通用しないからな。
次はなしだからね！」
翔は和の頭を小突いた。
雅「あ！ちょっと翔にぃ…やめてよ。笑」
雅紀は慌てて庇って、頭を撫でてやる。
翔「よかったな、和。
優しい兄ちゃんがいてくれて。」
和は雅紀にくっついたまま
コクコク頷いた。
それを見た翔は笑いながら病室を出ていった。
翔が厳しすぎるときは、俺らがフォローに
まわる。
もちろん、俺とか雅紀が厳しすぎるときは
翔もフォローしてくれるからね。
俺らはそうやって上手くバランスを
保ってるんだ…
そうじゃなきゃ、難しすぎる歳頃の子ども
教育できないよ…笑
雅「智にぃ。寝そう…」
雅紀に甘えている和に目をやると
ウトウトしてる。
「翔とバトルするには相当な体力いるからね。
和も負けずに、よく闘うよね。笑」
雅「ほんと。ある意味すごいよ。笑
翔にぃ怖いからさ、
俺なら一発目で謝っちゃうな。あひゃ」
「雅紀の素直さ分けてやれたらな。
和もこんなに苦労しないんだろうけど。」
雅「あひゃ。
でも、和はこのままで、じゅーぶん！！」
雅紀はギュッと、和を抱きしめる手に
力を入れた。
和は愛されてるね…
雅「かず？ベッド寝ようか。」
すでに半分は夢の中の和を
雅紀がそっと自分から離して
ベッドに寝せてやった。
和「…ごめんなさい」
和はトロンとした目で雅紀を見て
しっかり口を動かした。
雅「いいの、いいの。
翔にぃにも、言っておくから。ね？
心配しなくていいよ。」
雅紀は頭を撫でて優しく声を掛けてやる。
和も感謝してるんだろうね。
特に今回の入院では、雅紀はすごく
お兄ちゃんしてくれてるから…
翔も褒めてたよ？
雅紀には内緒だけどね。笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年1月16日 6時
