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［潤side］
俺らが「あらし」と
出会ったのは
台風で学校が
短縮授業になった日。
いつも通る公園のベンチの下に
箱に入れられて捨てられていた。
首輪には手紙が添えられていて
「引っ越しするにあたり、飼えなく
なりました…雑種ですが、とても
利口な子です」って書かれていて
誕生日もきちんと記入されていた。
ちょうど1歳くらいだ…
迷わず犬を抱き上げたのは和だった。
兄貴達に話す勇気もないくせに
必死で犬を守ろうとする和を見てたら、
俺も協力しようって思ったんだ…
2人でトボトボ歩いてたら、
工場を閉めようとしていた、ネジおじさんが
声を掛けてくれて「お兄さん達を
説得するまでの間なら預かるよ」って
言ってくれた。
だから、俺らはダンボールを運んで
仮住まいを作ってやり、家からパンや
牛乳を持ち出して食べさせていた。
ネジおじさんとは
何度か和と一緒に遊びに行くうちに
俺も仲良しになった。
いつも俺らを可愛がってくれる。
で、雅にぃにバレたのは昨日の夜。
俺らがキッチンからパンを持ち出して
いるのを見られた…
雅にぃは「俺もさ、動物大好きだから
お前らの気持ち分かるよ。でも、いつか
バレるんだから早めに、にぃ達に相談しろよ？
俺からは言わないでおくから」って
言って部屋に戻った。
引っ越しが理由で手放すなんて
飼い主はほんとに無責任だ。
あらしはシッポをブンブン振って
俺たちに愛嬌を振りまいている。
俺にはそれが「良い子にするから…もう
見捨てないで…」って訴えているみたいに
見えるんだ…
智「とりあえず、犬を迎えにいこう？
いつまでも、おじさんに迷惑掛けるわけには
いかないだろ？」
和「…飼っていい？いいでしょ？」
和は背中にくっついたまま、
智にぃを見上げて頼み込む。
和はねだるのが、ほんとに上手い。
この作戦でＮＯと言えるのは智にぃか、
怒ってる時の翔にぃくらいだ。笑
智「和？引き取りにいくのと、
飼うのはまた別の話。分かった？
先に2人でおじさんの所に行って、
引き取ること伝えておいて？」
和「やだ…」
智「やだじゃないの。
俺は菓子折か何か買ってから、車で工場まで
行くから。分かった？」
和「…」
「…分かった」
俺は返事をしようとしない和を
引っ張って、工場まで歩いた。
ネジおじさんは、俺らを笑顔で迎えてくれて
「お？お兄さんに叱られたか？あらし〜、
潤くんと和くんが来てくれたぞ〜？」って
言って笑いながら
あらしを優しく撫でてくれていた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年1月16日 6時
