5人で生きてゆく…part63 (ページ46)

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［潤side］

廊下に戻ると
再び和が嘔吐していて…

「…辛いな、和。今、保健の先生きてくれるから」

和「…ん」

背中をさすりながら、少し落ち着くタイミングを
待って、口元をタオルで拭いてから、手にタオルを
持たせる。

和は「…ありがと」って力なく呟いてから、自分で
手を拭き始めた。

「口の中気持ち悪いだろ。うがいする？」

和「…ん、したい」

水を口に含ませて、洗面器を使ってうがいをする。

2回くらいうがいしたら、少しスッキリしたみたいで
顔色も良くなってきた。

保「お待たせ…服は？汚れてないかな？」

和「…ん」

保健の先生が来てくれて、和の顔色を見てくれて
その後「ちょっと脈もみせてね」って声を掛けてから
右腕に優しく触れた。

あんまり調子が良くない時は、慣れている保健の
先生のことも拒むことがある和。

今日は大丈夫だったみたいで、ホッと一安心だ。

保「大丈夫そうだね。ここすぐ片付けちゃうね」

「…ありがとうございます」

頭を少し下げるだけで精一杯の和に代わってお礼を
伝える。

保健の先生は嘔吐処理キットを使って、テキパキと
片付けをしてくれる。

その間に、和の顔色がまた悪くなってきて…

「…気持ち悪い？」

和「…ん」

「出す？」

和「ん、ん…」

気持ち悪くて出したいみたいだけど、そこまでじゃ
なくて上手く出せないみたい。

背中をさすりながら深呼吸を促すことくらいしか
できなくて…

保健の先生は片付けを終えて、新しいタオルと袋を
俺の手に持たせて「ちょっと待っててね」って一旦
戻っていく。

保健室に連れていくには俺一人だと、和がフラ
ついたりした時に支えきれなくて心配だからね。

保健の先生はすぐに戻ってきてくれたけど、和の
調子がなかなか整わなくて立ち上がれない。

時々襲ってくる吐き気に苦しめられて、せっかく
よくなってきた顔色も、また悪くなっちゃって…

保「首元少し冷やそうかな…」

和「…ん、ん…」

持ってきていた保冷剤をポケットから取り出して
タオルで巻いて、和の首元を冷やしてくれる。

顔色と脈を確認しながら、優しく声も掛けてくれて。

和も先生には慣れているし、パニックにもなって
いないから、きちんと声が耳に届いているみたい。

保「ゆっくりでいいから移動しようかな」

和「…ん」

「…立てる？」

和「…ん」

両側から支えてゆっくりと保健室へ。

何度か立ち止まったり、口元にタオルを当てて
吐き気に耐えたりしたけど、無事にたどり着けた。