3059.【4】 ページ9
［智にぃside］
小発作を起こすたびに
「平気、平気！」って。
『次はいつだろう…』って不安なくせに、強がるん
だから。
和「あらし〜、おいで？」
「ウォンッ！」
こうやって何気なく、あらしと戯れてる時にも発作が
起きる。
そうすると、心配してソワソワするあらしにまで
「平気だからね」って和は言う。
平気じゃないだろうに。
和「だいじょ、ぶ…すぐ、おさま、る…」
「ん、分かったから…治るまでこうしてろ…」
和「…っ、んっ…んん…はぁ…はぁ…」
強がるから、こっちが堪らなくなってしまって
そっと寄せて肩を抱く。
和「…っ、んん…はぁ…も、う…平気…」
「ん、よかった…」
落ち着いた途端に「もう苦しくないから」って
立ち上がって飲み物を取りにいく和。
カウンターの椅子に座っていた翔が、その姿を
目で追っているのが分かる。
翔「もう少し経てば落ち着いてくると思うんだけど
こうも何回だと辛いよな」
和「ん、分かってるから。大丈夫、これくらい」
翔の言葉をさらっと交わした和は、ジュースが入った
グラスを手に自室にむかって階段を上がっていった。
今は意地を張りたい時なのかもしれないね。
翔「心配だけど、少し様子見だね」
「ん、そうだね」
［雅にぃside］
何度見ていても、和が苦しそうに…痛そうに…胸を
ギューっと掴んで耐える姿は辛い。
起きて早々に発作が起きて、その後は「もう平気！」
って強がって意地張って笑っていた和だけど…
朝食を食べ終わっても、なかなか制服に着替えなくて
終いにはソファーでコーヒーを飲みながら新聞を
読んでいた俺の元へきた。
「ん？…どうした？」
和「んーん、なんでもない」
膝の上にコテッと頭をのせてきて…
ここ数日間の発作後の行動と言動と少し違うな…って
気になって、智にぃも翔にぃも様子を見てる。
そしたら、割と早めに和が口を開いてくれた。
和「おれ…今日は休もうかな…」
「え？…学校？」
和「…ん。雅にぃ、お休みでしょ？」
俺の手を弄りながら、見上げてくるその目は
少しだけ不安で揺れてる…
「ん、休みだよ」
和「なら…俺も」
うんうん、いいんじゃない、休んでも。
言葉ではすぐに伝えられなかったから、そっと
髪の毛に触れながら頷く。
和「…ふふ」
そしたら口角をキュッと上げて可愛い顔してる。
智にぃも翔にぃも優しく笑って頷いてくれた。
不安を溜めるのはよくないしね、上手く消化できたら
それが一番いいよね。
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
