5人で生きてゆく…part62 (ページ44)

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3094.【宿泊行事いける？】ページ44

［潤side］

1年生の全員が参加する
学校の宿泊行事。

2泊3日で、学校からバスで2時間くらい離れたところ
にある宿泊施設に泊まる。

カレーを作ったり、キャンプファイヤーをしたり
グループごとに決めたテーマについて調べたり。

翔「和は行きたい？」

和「…」

翔「許可出せるか、出せないかじゃなくて、和が
どうしたいかを教えて欲しいんだけどな」

和「…」

5人でソファーに座って話し始めたけど、和は隣に
座っている智にぃの手を弄りながら、俯いて黙り。

拗ねてるとか、意地になっているとかそういう感じ
ではないんだよね。

なんて言葉を発していいか悩んでるのかな…って
感じがする。

雅「一泊だけ行くとか、色々と方法はあるんだよ？」

和「…」

智「…ん？」

今回の件、兄貴たちは事前に話し合ってくれた。

どうするのが最善策なのか…って。

今までは、学校の宿泊行事とかはとりあえずパス
してたんだけどね。

やっぱり心配だから。

でもこれから先、全てそうやってパスしていく
ワケにはいかないって思いもあるみたい。

意味あっての行事だし、年齢が上がるとそういう
機会も増えてくるワケだしって。

和の気持ちもあるし。

いつまでも、自分達の傍に置いておいて『安心と
安全』を最優先にするのは違うんじゃないかって。

和「…俺、いきたい、けど…」

翔「ん。けど…？」

長い長い黙りの後、俯いたまま呟いた和。

正直「今、呟いたよな？笑」くらい小さな小さな
消えてしまいそうな声で。

これはきっと、和の不安を表してるんだなって。

いきたいけど、不安…

心配は山ほどある…

体調管理してもらえる状況から離れるってことは
和自身にとっても、かなり不安なことなんだと
改めて感じる。

発作とかあるかもしれないし、万が一なにかあれば
知らない病院に搬送されるし…

翔「行きたいけど、なに…？」

和「近くに、にぃ達、いない、のが心配…」

翔「ん、そっか。分かった」

今度はしっかりした口調で教えてくれた。

智にぃのことチラッと見上げて、頭を撫でてもらって
少し笑顔も。

和が一番心配なのは、近くに兄貴達がいないこと
らしい。

ちゃんと和の口から聞き出すことができて一安心。

あとは、和の『参加したい』って気持ちを、どう
叶えてあげるかなのかな。

兄貴達はまた話し合ってくれるみたい。

宿泊行事、一緒に参加できたら俺は嬉しい。

もちろん不安も心配もあるけど、また一歩進んで
成長する機会になる気がするから。