3087.【4】 ページ37
［翔にぃside］
雅紀は優しすぎるくらい
優しくて、気を遣い過ぎるくらい周りに気を遣う人
だから…
自分のせいで怪我をさせてしまって、申し訳ないし
無理をしているんじゃないかって心配があった。
俺がいくら「ごめんな」って謝ったって、どうにも
ならないことは分かっていたし、逆に雅紀に気を
遣わせる結果になるんじゃないか…って思ったりも
したんだ。
でも、雅紀の姿を見ると謝らずにはいられないし、
どうしても、申し訳ないな…って顔をしてしまう。
その度に雅紀は「これくらい大丈夫だって！」とか
「もう痛くないから！」って明るく振舞ってくれて。
それでも俺の表情が晴れない時は、智にぃが傍に
きて「大丈夫、だいじょーぶ…」って肩をさすって
くれた。
もちろん、雅紀の優しさと明るさに何度も救われた
けど、智にぃの優しさとさり気ないフォローにも
何度も救われた。
『やっぱこの人すげーな』って。
いつも感じてはいたけど、こうやって自分のことで
救われると改めて感じる。
周りをよくみているし、一歩先を見据えてる。
口数は多くないけど実は小さなことにもよく気が
付いてる。
俺は子どもの頃から、智にぃを尊敬の対象として
みているんだなぁ…って。
歳は１つしか変わらないのにさ、なんだかんだ
すごーくお兄ちゃんだし。
精神的支柱ってやつ。笑
［雅にぃside］
智「まーさき、ちょっとこっちおいで？」
「ん？なにー？」
そろそろ洗濯物を…と思っていたら、キッチンの
智にぃから呼び出し。
寄ってってみたら「これ、お願いしていい？」って
ピーラーを手渡された。
今日の夕食はカレーらしくて、じゃがいもの皮むき。
しっかりね、椅子も用意してあって「腰掛けて
ゆっくりやればいいから」って、フニャッと笑って
くれるんだ。
実は今朝、翔にぃの前だからと思って少し無理して
動き回ってしまったんだよね…
そのせいで、足首の痛みがぶり返してて、少しだけ
辛かったんだ。
それも見抜いてくれていたんだね。
智「じゃあ、お願いねぇ〜」
「ん、任せて！」
今は、智にぃの優しさに甘えていようと思う。
キッチンを出ていく、ちょっと丸まってるけど
頼りになるその背中に向かって「ありがとう」って
伝えておく。
優しくて、頼りになるお兄ちゃんだもん、大好き。
嬉しくて顔がニヤけていたみたいで、飲み物を
取りにきた和に「何、ニヤニヤしながらじゃがいもの
皮剥いてんの？笑」って突っ込まれた。
あひゃ！内緒！笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
