3082.【4】 ページ32
［翔にぃside］
できれば潤の傍に
いてやりたいけど…
カ「それだけで解決に持っていくのは難しいかも
しれないね…」
「そうですよね…」
仕事の後にカウンセラーと話をさせてもらった。
俺が潤の傍にいてやるだけでは、今回の問題を解決に
持っていくのは難しい。
カ「でも、情緒安定には繋がるから。翔くんに
甘えつつ、少しずつだね」
「はい、そうします」
『一人で外出しなければ大丈夫』って経験を、まずは
少しずつ積み重ねていく。
智「ほら、帰ってきたじゃん。よかったねぇ」
潤「…ん、おかえり」
玄関でピタッと張り付いてくる体を抱き締める。
目が充血して赤くなって、呼吸も少し苦しそう。
智にぃが「さっきまで落ち着いてたんだけど、急に
会いたくて堪らなくなったみたいで」って教えて
くれた。
寂しくなってしまったらしい。
可愛い奴。笑
なんて、呑気なこと言ってる場合ではないけれど
可愛くてさ。
「ただいま、おいで」
潤「…ん」
もう一度しっかり抱き締めてから、腕を引いて
リビングに連れていく。
ご飯を食べている間も、片時も離れようとはしない
から、したいようにさせて傍においておく。
一緒にいる時は比較的落ち着いて過ごせることが
多いんだけど…
潤「…っ、んっ…はぁ…っ、はぁ…」
「大丈夫…焦らなくていいから…」
昼食後の服薬の時に「これ飲んでたら、外に行ける
ようになるの？」って問い掛けてきたのをきっかけに
過呼吸を起こした。
智「いいんだよ、潤。潤のペースで…」
「そうそう。智にぃの言う通り。大丈夫…」
背中をさすって呼吸法を伝えるけど、なかなか
落ち着けない。
潤「…っ、いけな、い…行きた、く…いっ…」
「ん、いかない。行かなくていいから…」
そのうちにパニックになってきて、混乱状態に
陥り始めた…
智にぃと俺で、一生懸命に声を掛け続けるけど
このままじゃラクにはならなそう。
「ちょっとだけ薬使うね…」
智「ん、分かった。…お願い」
もしもの時に備えて処方しておいた鎮静剤を使う
ことにした。
部屋に取りにいって戻っても、智にぃの腕の中で
「外にいきたくない」って、相変わらずパニクって
泣いている。
「太ももでいいや。一応、上半身の固定お願い」
智「ん、りょーかい」
「じゅーん？恐いのなくなるからな？」
長袖着てるし、智にぃに引っ付いているしで肩の
露出は難しそうだから、太ももに注射しよう。
一声掛けてから、スウェットのズボンを少し下げた。
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
