3081.【3】 ページ31
［雅にぃside］
翔「大丈夫だよ、潤。
無理に外に出なくていいから…な？」
潤「…っ、んっ…はぁ、はぁ…っ、ん…」
それから潤は、何度もパニックと過呼吸を繰り返す
ようになった。
外に出ようとすればアウト。
酷い時には外を連想させるワードだけでアウト。
智にぃと翔にぃがカウンセラーと話をしてくれては
いるんだけど、潤がこんな状態だから、なかなか
前には進めていない。
いや、むしろ時間が経つことで悪化した…
不安が強すぎて、翔にぃに縋ることでしか安心感を
得られなくなっているみたい。
翔にぃが家にいる時は、片時も服を離そうとしない。
今も、そろそろ翔にぃが当直で家を出ないといけない
時間になってきたから…
智「バトンタッチしようか。おいで、潤」
翔「帰りにお土産買ってくるね。プリンにする！？」
智にぃが2人の傍に寄っていって、翔にぃが色々と
話し掛けながら、なるべく自然にバトンタッチ
できるようにする。
智にぃと翔にぃの間に流れる『バトンタッチなんて
なんてことないよ』っていう空気。
それでも今の潤には…ね。
潤「…っ、いや…いやだっ…」
翔「ケーキもいいかな？和は何がいい？」
翔にぃは必死になって縋ってくる潤とは目を合わせず
服を掴んでいる手を離させながら、ソファーの和に
問い掛ける。
和「おれー？じゃあ、シュークリーム！」
翔「あ、いいね！」
智にぃに目で合図して、離させた潤の手を智にぃの
手で握ってもらう。
潤「…っ、んっ…や…、しょ…にぃと、いた、い」
翔「ん、俺も。帰ってきたら、また一緒にいような」
今度はしっかり潤の目を捉えて伝えた翔にぃ。
ガシガシっと頭を撫でて「支度してくるな」って
2階に上がっていった。
潤「…っ、ん…んんー…」
智「じゅーん？あっち座ろう？」
潤は翔にぃを追おうとして、智にぃに掴まれた手を
振り払いたがって…
でもそれは出来なくて、床に座り込んでポロポロと
泣き出した。
智にぃが、和が座っているソファーを指差して
「あっち座ろう？」って何度も誘うけど首を振る
ばっかりで動こうとしない。
そうこうしているうちに、10分くらい経って
翔にぃが「いってきまーす！」って。
黙って出ていくことはしないけど、特別潤に声を
掛けたり、体に触れたりしない。
カウンセラーに言われているみたい。
一度離されたら諦めがつけられるようにって。
ほんとは求められる限り、ずっと傍にいて
あげたいって気持ちが強いだろうけどね…
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
