3076.【3】 ページ26
［翔にぃside］
病院で診察後すぐに
腹膜炎は確定。
原因を調べたら虫垂炎で…
「お腹の痛みはあったはず…俺らの看病してて、
我慢してたんだと思う」
潤「…っ、そんな…」
軽く痛む程度の時に、病院にきていれば腹膜炎には
ならずに済んだ。
そう思うと俺も悔しい。
「緊急手術になるから…待ってて…」
それだけを伝えるのが精一杯。
正直、今の和の病状はあんまり良くないんだ…
すぐにオペのチームが組まれる。
俺は和の準備を看護師と一緒にして、手術室まで
運ぶ。
本当はみんなにも会わせてあげたかったけど、
そんなこと言っている余裕も時間もなくて…
「…よろしくお願いします」
手術室に入ってから、スタッフに和を託すことしか
できなかった。
執刀医は先輩の医師。
もちろん安心して任せられるし、信頼もしてる。
でも…
『もしも…』が何度も頭を過って気持ちが
グチャグチャになってしまう。
それに追い討ちを掛けるように、緊急事態発生で
手術室はさらにバタバタと騒がしくなる。
腹膜炎の手術は俺も執刀経験あるけど、患者の状態に
よっては、かなり危険なケースもある。
腹膜炎を起こしてからは時間との勝負なんだよね…
和は我慢していた分、割と重症。
だから執刀医も『大丈夫』とは言わなかった。
手術室に飛び交う言葉が、次々に耳に入ってくる…
専門用語を知らなければラクなのに…とすら、
思ってしまう。
足が震えて、立っているのがやっとになって…
看「翔先生、顔色悪いです…倒れたら大変なので」
「…ごめん、ありがとう」
気を利かせた看護師が、俺にパイプ椅子を持って
きてくれた。
ただでさえ慌ただしい状況なのに、迷惑掛けて
申し訳ない…
看「和くんの力、信じましょう。私も信じます」
「ん、ありがとう…」
長く和の担当をしてくれている看護師だ。
俺が言うのもなんだけど、和への気持ちは強くもって
くれていると思う。
その看護師も、今は気持ちを抑えて、必死に現実と
向き合ってくれてる。
看護師ってすげぇな…
俺はパイプ椅子に座って項垂れながら、ただただ
医療の技術と和の力を信じることしかできない。
しばらくして手術室が落ち着いてきて…
執「翔先生、こっち来てもらっていい？」
「はい…」
執刀医に呼ばれて、和の傍へ。
助手の医師が処置を引き継いでくれていて、手術は
そろそろ終わるみたい。
執刀医から、手術についての説明と、今後のことが
伝えられた。
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
