3063.【4】 ページ13
［智にぃside］
雅「…っ、や…
いやだっ…やだ…」
先「雅紀くん、すぐ済むからな〜」
先生と翔の手で、あっという間にタオルケットで
グルリと抑制された雅紀。
当たり前だけど、和より体が大きくて力もあるし
本人は必死で抵抗してくるから大変だけど。
やっぱり先生と翔は慣れているから手際がいい。
医療関係者の人をこんな風に褒めたら、逆に失礼に
当たるのかな。笑
翔「まさきー？先生やってくれるから、恐くない
からな。こっち見ててごらん」
雅「ぎゃー」
タオルケットから唯一出ている片腕と顔。
翔が視線を遮りながら上半身と腕を、タオルケットの
上から抑える。
俺は下半身を中心にギュッと。
雅「ぎゃー！」
先「もう終わるよー」
採血だけだから、あっという間。
でもパニックは避けられなくて…
恐怖症を発症してから初めて自分自身に針を刺される
っていう体験。
泣き叫んで意識を手放してしまった。
正直、可哀想…という思いが強くて気持ちが複雑
だけど。
先「頑張ったね、お疲れ様…」
翔智「…ありがとうございました」
先生は意識のない雅紀に声を掛けて頭を撫でて
くれてから、診察室を出ていった。
いつもと変わらない優しくて穏やかな声…
翔「着替えさせて、病室連れていこうかな…」
「ん、準備するね」
失禁してしまっているから、ホットタオルで体を
拭いて着替えさせる。
翔「検査結果とこれからの病状次第だけど、点滴が
必要になるかもしれないし、入院させた方がいいと
思うんだよね」
「…そうだね」
家には双子もいるし。
特に和には、恐怖症でパニックを起こす雅紀の姿を
見せるワケにはいかないもんな…
これからのことを話しながら2人で着替えさせたら
あっという間。
そのまま病室に連れていってベッドに寝かせる。
その頃には検査結果も出ていた。
翔「体力落ちてたからね…やっぱり肺炎だわ…」
「…そっか」
翔「気管支系もちょっとね…1週間くらいは入院で
様子みようかな…」
「ん、了解。お願いします…」
ベッドサイドで30分くらい話をしていたら
雅紀が目を覚ました。
雅「…迷惑、掛けたよね…ごめん…」
「…なんにも迷惑じゃないよ、大丈夫」
パニックになっている時のことは覚えていないけど
『迷惑を掛けた』とは思っているみたいで…
雅「でも…」
翔「気にしなくていいから。俺ら慣れてる。だろ？」
雅「…ん」
和をずっと傍で助けてきた雅紀だもん。
迷惑なんかじゃないと、分かるはず。
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
