3062.【3】 ページ12
［先輩side］
翔くんから連絡があったから
「必要ならフォローするから声掛けて」って
伝えておいたら、早速呼び出し。
雅紀くんの恐怖症のことは事前に聞いていたけど
会うのは初めてだから、どれくらいの程度なのかが
気になるところ。
翔「大丈夫、だいじょうぶ…聴診するだけ。な？」
雅「…っ、んっ…帰りた、い…」
智「ん、分かった…頑張って診てもらおうね」
診察室のドアを開けたら、ベッドに座って雅紀くんを
抱える智くんと、抵抗して伸ばされる手を掴みながら
宥める翔くんの姿があった。
雅紀くんは、パニックにはなっていない様子。
ただ、いつもの姿とは、かけ離れているけどね…
診察室にくる前にレントゲン撮影はしたみたいだから
今から軽い診察と採血だろうと。
無駄に刺激を与えない方がいいかなと思って、
翔くんの同意を得てから、採血までは様子を見守る
ことにした。
雅紀くんは可能な限り抵抗しているから2人とも
大変そうだけど、優しく声を掛けながら一つひとつ
丁寧に進めてあげている。
翔「ん、いいよ。おしまい」
智「偉かったね、雅紀。深呼吸しようね」
肩で苦しそうに大きく呼吸していた雅紀くんが
お兄ちゃん達の声で少しずつ落ち着いてくる。
智くんが胸元をさすってさらに落ち着かせてくれて
いる間に、翔くんは俺の元へ。
「肺炎っぽくて…採血いいですか？」って不安そうな
顔で伝えてくる。
「ちゃんとフォローするから。な？そんな不安そうな
顔するな。笑」
翔「…はい。笑」
不安なのは分かるよ、心も痛むだろうし。
でも、翔くん達なら大丈夫って分かるから。
翔「ベッドに寝転んだ状態の方がいいですよね？」
「そうだな、その方がまだ抑制しやすいな」
雅紀くんの今の様子を見ていると、恐らくパニックは
避けられそうにない。
智くんが宥めながら気を引いてくれているうちに
準備を進めていく。
「よし、なるべく早く済ませてあげよう」
翔「はい…よろしくお願いします」
智くんと翔くんが、声を掛けながらベッドに雅紀
くんの上体を寝かせる。
雅「…っ、やだっ…なんにも、しないっ…」
智「恐くないよ、雅紀。俺らいるからね」
翔「すぐ終わるから。…な？」
フルフルと首を振っている雅紀くんだけど、まだ涙は
出ていない。
恐がる時間は最小限にしてあげたいから、タオル
ケットを広げて抑制の準備。
雅「…っ、やだっ！やだ…」
翔「ごめんな…ちょっと頑張ろう」
察して抵抗する前に抑制してしまう。
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作者名：空
| 作成日時：2019年2月2日 19時
