2988.【3】 ページ38
［雅にぃside］
明け方に聴こえた
救急車のサイレンで発作を起こしてしまった
翔にぃだけど…
智「そうそう、ゆっくりね…」
翔「…っ、ん…ん…」
智「ほら、もう大丈夫…」
智にぃが寄り添ってくれたお陰で、落ち着いた。
翔「…ごめ、ん…」
「温かいもの飲もっか。作ってくるね」
智「ありがと…」
翔にぃの服は汗でビッショリと濡れていたから
着替えさせてもらうだろうと思って。
その間に、キッチンで紅茶をいれる。
ミルクと蜂蜜を加えて少し甘めに…
「はい、どーぞ…熱いから気を付けてね」
翔「…りがとう」
いつもの翔にぃからは想像できない、か細くて
頼りない声。
「…甘くて、おいしい…」って呟いた後、「病院じゃ
なくても駄目なんだな…」って悲しそうな顔でさ。
智にぃが「ゆっくり治していこう」って声を掛けて
くれて、その日はそれで落ち着いたんだけど…
翔「んん…行かない…」
「智にぃも一緒だよ？」
翔「…いい」
翔にぃは家から出ることを拒むようになって
しまったんだ。
自宅療養が始まってからも気にせずに出掛けていた
夕食の買い物や、双子とのあらしの散歩。
全てが駄目になった。
家にいても救急車のサイレンで発作を起こしたから
外の世界が恐怖なんだと思う。
智「翔？窓閉めたよ、大丈夫。こっちおいで…」
翔「…ん」
翔にぃがリビングにいる時は部屋中の窓を閉め切って
テレビを少し大きめにつけておく。
そうしないと、部屋からも出てきてくれないんだ。
でも、翔にぃのような症状がでることが多々ある
みたいで、カウンセラーからは「心配ないよ」と
言われてる。
和「あらしね、ネジおじさんのこと大好き過ぎて
ずっと帰りたくないって言うんだよ！」
潤「そうそう。帰ろうとするとそっぽ向いて
ネジおじさんのことしか見てないの！」
「あひゃ！一層の事、ネジおじさん家の子に
しちゃえば？笑」
和「え〜！駄目〜！」
潤「さすがにそれは嫌がりそう。笑」
智「んふふ…」
夕食時はいつも通りの会話。
翔にぃは口数は少ないけど、時折笑ったりは
できているし、この時間は結構好きみたい。
リラックスできてる感じがする。
和潤「お風呂一緒に入ろう〜！」
翔「ん、入るか！」
それからこのお風呂の時間も。
洗面所は道路に面していないから、救急車の
サイレンが聴こえにくい。
だから双子と楽しく入浴できてる。
今は少しでも、心休まる時間を増やすことから
始めていきたいねって智にぃとも話してるんだ。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
