2987.【2】 ページ37
［智にぃside］
先生から連絡があって
夕方にタクシーで病院へ。
なぜ先生が「帰りは翔くんの車を智くんに運転して
欲しいから」と言ったのか、理由はすぐに分かった。
机の上には診断書のコピーが置いてあって、先生が
丁寧に説明してくれて、翔も自分で伝えられることは
自分で一生懸命に、俺に話してくれたから。
「お家でゆっくりしようね、帰ろう？」
翔「…うん」
先生にお礼を伝えて。
そしたら先生「たまに様子見にいくな」って
言ってくれて。
それを聞いた翔が本当に嬉しそうな表情になって
口角をキュッと上げたんだ。
「よろしくお願いします」
先「ん、みんなにもよろしくね」
家に連れて帰ってきてから、翔はあんまり元気が
なかった。
色々と思うことはあるだろうし…と思って、少し
そっとしておいたんだけど…
翔「…大丈夫、自分で、話す…」
「ん、分かった。じゃあ、ソファーに座ろうか」
雅紀と双子には自分から話をするって。
翔なりに、ケジメをつけたいんだろうな…と。
翔は自分に厳しいからね…
少し心配だけど、俺は隣に座って見守ることにした。
翔「しばらく…迷惑掛けると、思う…」
翔の話を聞いて、双子はコクコク頷いて、雅紀は
「なんでも頼って」って頼もしい言葉をくれた。
自宅療養が始まっても、俺らの日常に特別な変化は
なく3日目の夜になったんだけど…
ピーポーピーポーピーポー…
明け方に、救急車のサイレンで目覚めた。
頭の中にパッと浮かぶのは翔のこと。
もしかしたら、家にいたとしても救急車のサイレンで
パニック発作を起こしているのではないかと思った
んだ。
「…っ、翔！」
雅「…っ、翔にぃ！」
俺のすぐ後に雅紀も翔の部屋に駆け込んできた。
心配していたことは同じだったみたい。
翔「…っ、はぁ…はぁ…っ、んっ…はぁ…」
「大丈夫…雅紀も俺もきたからね…」
俺らの心配は的中。
翔はベッドに座って胸を押さえて発作を起こしてた…
翔「…っ、はぁ…っん、はぁ…はぁ…」
「大丈夫…大丈夫だからね…ゆっくりね…」
翔「…んっ、はぁ…はぁ…」
涙を流しながら、肩で大きく呼吸して苦しそうに
する翔の姿は見てるのが辛いくらいで…
本人の苦しさはどれ程なんだろうと思うと、もっと
苦しい。
翔「…っ、はぁ…さと、にぃ…」
「ん、ここにいるよ。大丈夫…」
悶えながらも伸ばしてきた手。
そっと包み込んだら、少しだけ体から力が抜けたのが
分かった。
「よしよし…大丈夫…」
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
