2789.【和の葛藤と4人の存在】 ページ39
［和side］
なんかもう、やだな…
ここ1ヶ月、ほとんど学校に行けていない。
体調を崩すと、なかなか回復しなくって。
治療を頑張って、いよいよ明日から登校できるって
時に、今度は発作を起こして入院して。
翔「数値は安定してるんだけどな…」
なにが原因だろう…
パソコンのデータと、沢山の資料とにらめっこして
難しそうな顔をしていることが増えた翔にぃ。
『データは調子いい』
『発作の前兆はない』
そう言われているのに、入院してからすでに3回、
突発的な発作に襲われてる…
「…っ、ん…んん…」
潤「翔にぃ！和が…」
翔「苦しいね、和。すぐ治るからな…」
また発作…
大きい発作はないけど、息ができなくて、胸が
締め付けられて痛くて…恐怖でしかない。
そんな恐怖心に追い打ちをかけるように、発作の
治療の為の注射。
「…っ、や…やだ…」
翔「ごめん、和。これだけ我慢して…」
「…っ、んー…」
俺が猛抵抗して暴れるから、翔にぃが「抑えてる
から頼んでいい？」って研修中のお医者さんに
指示を出して。
知らないお医者さん恐い…
注射はもっと恐い…
なんだか分からないけど、体もガッチガチに
抑え込まれて身動き取れないし。
もう嫌…
「…っ、んっ…んくっ…」
翔「泣かないで、かず。苦しくなるから…な？」
「…っん…、…ん、んくっ…」
発作の後は泣くことも許してもらえない。
「…っ、や…、とっ、て…」
翔「もう少し我慢して」
酸素マスクを当てられるから、うざったくて
顔を動かして避けようとするけど、それも駄目。
潤「ごめんな…かず」
「…っ、んくっ…」
翔にぃの指示で、潤が俺の顔を抑えて…
それで眉毛を下げて申し訳なさそうな、悲しそうな
顔をして何度も言うんだ…『ごめんな』って。
大事な弟に、こんなに悲しい顔をさせるなんて
最低…
この先良くなるか分からない病気も、治療も、
注射が恐いのも、お医者さんが恐いのも…
もう全部嫌。
にぃ達と潤に迷惑を掛け続けるのも嫌。
全てから逃げ出したくて…
「…っ、ん…、んくっ…」
俺は泣きながら病院の外に飛び出した。
足元はスリッパのまま、病院の簡易着にダウンを
羽織って…
どこにいこうかなんて決めてない。
ただただ、この状況から逃げたかった…
『お願い…もう見つけないで…』
死にたいとは思っていない。
でも…
消えてしまえるなら、そうしたい。
ラクになりたい。
もう何もかもが、嫌なんだ。
神様…
俺を消して下さい…
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作者名：空
| 作成日時：2017年11月17日 22時
