2786.【3】 ページ36
［和side］
翔「ほら、かず。
ストロー咥えられる？」
「ん…」
優しく頭を撫でられる感覚と翔にぃの声。
微かに目を開けたら、眉毛を下げて優しく笑う
翔にぃがいて、思わず弱音と涙が零れる…
「…っ、つら、いの…、んくっ…」
翔「ん、そうだよな…」
昨日から吐き気がすごいし、体も怠い。
翔にぃが具合悪いことなんて知らずに、泣きながら
「辛い」って訴えちゃった。
翔「ラクになるように診てやるから。な？」
「…っ、んっ…んくっ…」
「いい？」って聞かれたからコクッと頷く。
布団を捲られて、パジャマの中に翔にぃの手と
聴診器が潜り込んでくる。
「ゆっくり深呼吸して？」「すーはー」って声に
耳を傾けていたら、すぐに終わった。
またストローを咥えさせてもらって…
翔「目、診せてな？」
「…ん」
りんごジュースを飲んでる間にサッと終わらせて
くれて。
点滴から薬を追加してくれて「寝るまでいるから」
って頭を撫でてもらった。
途中、吐き気に襲われて3回もトイレに行ったけど
その度に翔にぃも付いてきてくれて。
「早く良くなりますように…」ってお腹を撫でて
もらいながら眠りに落ちた…
［潤side］
お腹が痛くてトイレに駆け込む。
熱もあるし、こんな体調崩したの久しぶりかも。
「…っ、ん…ん…んん…」
冷や汗出るくらい苦しくって、トイレで悶えて…
やっと落ち着いてドアを開けたら「…大丈夫か？」
って翔にぃがいてくれた。
「…お腹、痛かった」
翔「…そっか、辛いな…戻れる？」
「…ん」
支えてもらいながら和室まで戻る。
翔「ちょっと診ていい？」
「…ん」
頷いたら、検温と聴診をされて。
やっぱりちょっとドキドキしちゃうけど、それより
何より体の怠さが勝るから、目を閉じる。
翔「潤も点滴しよっか。してもいい？」
「…ん。でも…」
翔「…ん？」
こんな状況でグダグダ我儘言ったら駄目かな…と
思いつつも、翔にぃが「…なに？」って耳を
近付けて優しく問い掛けてくれたから…
「…甲に、刺すのは、やだ…」
ちょっと我儘言っちゃった。
翔「ん、分かった。痛いの嫌だもんな」
「…ん」
頷いたら「よしよし」って頭を撫でてくれて。
左肘の内側に刺してくれるって。
翔「ちょっとチクっとするからな？我慢な？」
「…ん」
翔「目、瞑ってな。笑」
ビクビクしてたら目の上に大きな手をのせて
くれた。
安心して目を閉じたらチクッとした痛み。
あっという間に「おしまいだよ」って声がした。
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作者名：空
| 作成日時：2017年11月17日 22時
