2763.【4】 ページ13
［翔にぃside］
和「ねぇねぇ、
ちょっとだけは？」
「駄目でーす」
和「開けていい？」
「駄目だって言ってんだろ？笑」
智「んふふ…」
和「ぶぅー…」
あれから和は「やっぱりゲームいらない」「耳鼻科
行きたくない！」って言い張って聞かなくて。
それなら…と「とりあえずゲーム見に行って
みない？」って誘い出した。
物を見たら欲しくなって、頑張る気持ちも湧いて
くるんじゃないかと思ったから。
智にぃも「いい考えだね〜」って優しく笑って
くれて。
そしたら和は「むぅ…見るだけだもん」って
言いながら行く気になった。
そこから先は、俺の思惑通り。笑
耳鼻科に向かう車の中で、グダグダ言ってるけど
そこは智にぃに任せておく。
赤信号中にチラッと後ろを見てみたら、ゲームの
袋を手に「開けていい？」って小声で智にぃに
再び交渉している和がいて。笑
俺に見られたことに気が付いて、慌てて目を閉じる
姿が可愛い。
なにやってんだか。笑
智にぃの肩に寄りかかって甘えてる。
落ち着けているなら…ってちょっと安心。
和「やぁだ…帰りたい…」
さすがに耳鼻科に着いてからは、同じ状態とは
行かなかったけど。
耳「見るだけは？」
和「やだっ…」
「とりあえず座って？」
和「やだぁ…」
智にぃの背中にピッタリくっ付いて、出てきや
しない。
「かーず、ゲーム返してくるよ？笑」
和「だめぇ…潤と約束したもん…」
ゲームを買ってもらってすぐ、和は潤にLINEで
報告したんだよね。
そしたら潤が『やったー！フットサル終わったら
真っ直ぐ帰宅するからやろーな！』って。
だからね、もう後には引けないってわけ。
「まず診てもらおう？」
和「んん〜…」
「…かず？」
和「やだ…」
駄々を捏ねまくる和は、いくら説得しても診察の
椅子には座ってくれなくて…先生が「恐怖心
煽るからやめておこうか」って小声で。
「そうですね…」
耳「和くん、ベッドにしようか。智くんいい？」
智「はい。和、ここおいで？」
智にぃにベッドに座ってもらって、そこに凭れ
させるように和を座らせる。
智にぃの温もりがあれば、少しは頑張れるんじゃ
ないかと…
耳「ちょっと見るだけね〜…」
和「んん〜…や…」
智「大丈夫だよ〜、かず」
和「んん…」
後ろから抱きしめるようにした智にぃが、手も
しっかり握ってくれて。
「恐くないから、な？」
和「…ん」
不満そうだけど、ちょっと納得させてから…ね。笑
俺も顔を軽く抑える。
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作者名：空
| 作成日時：2017年11月17日 22時
