5人で生きてゆく…part55 (ページ9)

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2709.【潤の幼児退行】ページ9

［潤side］

なんで…
なんでいっちゃうの…？

「…っ！はぁ…はぁ…」

怖い夢に魘されて飛び起きた。

まだ深夜の2時。

翔にぃが『和のこと頼むな？』って、俺に背を
向けて歩いていっちゃう夢。

『待って』って『いかないで…』って手を
伸ばしたけど、届かなかった。

どうして立て続けに怖い夢ばっかり見るんだろう…

少し前には智にぃが事故に遭う夢。

その少し前は、雅にぃが『仕事が忙しい』って
家から出ていってしまう夢で…

夢だから現実じゃないって分かっているのに
怖くて堪らなくて、不安でいっぱい。

だけど、なかなか相談が出来なくて…

翔「今日、ちょっと早く出るね」

智「了解。おにぎり持ってく？」

翔「ありがとう。持ってく～」

智「帰り、遅くなりそう？」

翔「ん、遅くなると思う。先食べててね」

智「了解。いってらっしゃい」

こんなのいつもの会話。

それなのに、心臓がバクバクして…

嫌だよ、行かないでよ…って不安になる。

「…っ、いかない、で…」

和「…潤？」

雅「なに？…どうした？」

朝食中の2人も俺の声にビックリしてる。

でも、不安が少し漏れたらもう止められなかった…

「…っ、いかない、で！！」

ガタンッ…

椅子から勢いよく立ち上がって、玄関へと…

［智にぃside］

玄関のドアが閉まった直後、リビングから
潤が飛び出してきて…

「…っえ？なに？」

止める間も無く裸足のまま外へ。

サンダルを履いて急いで追い掛けたら、ガレージで
翔にしがみ付いている潤が目に入った。

潤「…っ、んっ、んくっ…いかない、で…」

翔「じゅん…どうした？」

潤「…っ、んくっ、いって、欲しく、な…」

離れるのが不安になっている原因はなんだろう…

翔「少しなら時間あるから…。とりあえず、
家に入ろっか。な？」

潤「…っ、んっ、んくっ…」

しがみ付いたままの潤をリビングのソファーまで
連れてきてくれた翔。

「じゅん…？なんか心配なことある？」

尚も離れる様子がないから、優しく頭に
触れながら聞いてみたらコクン…と頷いた。

『怖い夢、いっぱい…』

『仕事が忙しかったら、帰ってこなくなるの…？』

そんなことを口にして、沢山泣いて…

溜まってたんだろうな…と。

ほんとは、もっともっと落ち着くまでって
思うけど、翔はもう出なくちゃいけなくて。

翔「ちゃんと帰ってくるよ。約束する」

潤「…ん」

それでも、きちんと約束してくれたら少し安心
出来たみたい。

離れることができた。