2732.【雅にぃ動物に恐怖心】 ページ32
［雅にぃside］
俺が担当する馬が
怪我をしてしまって獣医に同行して馬房へ。
怪我した時の状況を説明する。
獣医は移動動物園と提携している動物病院から
きてくれたお医者さん。
今日来てくれたのは、俺とも付き合いが長い人。
俺よりは歳下で、慕ってくれてるのかな。笑
『雅紀さん！』って可愛い笑顔を向けてくる奴。
俺も信頼してるんだ。
獣「ちょっと診ますね」
「お願いします」
突然の診察でビックリしたのかな…
それとも俺が気が付かなかっただけで、少し前から
興奮状態だったのかな…
獣医が怪我をしている足に近付いた途端に
大きな鳴き声を上げて。
大きな体を思いっきり捩った馬。
獣「…っ…」
獣医もビックリしたんだと思う。
「馬の下に入っちゃ駄目！！」
頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまって…
パニックの馬が暴れる。
「危ないっ！！」
獣医の腕を引いたところまでは覚えてる…
「…っ、痛…」
その後は馬房に倒れていて。
駆け付けたスタッフが馬を落ち着かせてくれたのか
近くにはいなくなってた。
獣医が「雅紀さん、ごめんなさい」って
しゃがみ込んだ。
ってことは、獣医さんも無事だったんだね…
よかった。
［翔にぃside］
雅紀が職場で怪我をして運ばれてくると
連絡があった。
職場の近くには市民病院もあるんだけど、あんまり
大きくないからこっちに搬送になったみたい。
頭部外傷の重症だって…
園長先生が付き添ってくれていて事故の状況を
救急隊員の人に伝えてくれていた。
だから処置もスムーズに進んだけれど…
智「頭蓋骨…骨折？」
「…うん」
かなりの重症。
幸い、脳に損傷はなかったんだけど、頭に包帯を
巻かれていて痛々しい。
さらに腕も骨折していて。
和潤「雅にぃ…」
双子も心配そう。
「意識戻って問題なければ、明日にはICU出られる
から。心配だから俺は泊まるけど…」
智「ん、お願いね。また朝イチで来るね」
「ん、分かった」
智にぃが、不安そうな双子の手を引いて帰って
くれた。
今夜は当直ではないから、家族として雅紀の傍に
いられる。
雅「ん、んん…」
「まさ？…分かるか？」
雅「…ん、しょ、…ちゃ、ん」
「…泣かないの」
目を開けたと思ったら、途端に頬を涙が流れる。
痛かったかな、恐かったかな…
そっと胸元をさすっていたら再び目を閉じて。
明け方まで目覚めなかったけど、診察では
問題なしだった。
みんなが面会にくる前に病室に移動しておこう。
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作者名：空
| 作成日時：2017年10月3日 22時
