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［智にぃside］
「患部に注射針を刺して
吸い出す」って言うんだもん。
そんなの恐いから帰りたかった…
でも翔が「恐くないようにやってあげるから」って
言ってくれて。
チャレンジしてみようかな…って思えたんだ。
翔「ここに腕のせて？」
「…ん」
ベッドの前の台の上に腕をのせて、翔の前に
手のひらを差し出す。
翔「危ないから…手握ったり、動いたり
しないでね？」
「…ん」
翔「消毒するから、ちょっとヒヤッとするよ」
「…ん」
ピンセットで摘まれた脱脂綿みたいなので
手のひらを消毒される。
ヒヤッとして、ビクッとしてしまう…
翔「ビックリしたね。でも大丈夫だよ」
「…ん」
なんだか今日は、翔がお兄ちゃんみたい。
まぁ、ちょいちょいある現象だけど。笑
こんなことくらいでビクビクしてしまう自分が
情けない…
翔「手元見てない方がいいよ？目、瞑ってたら？」
「…でも」
翔「大丈夫。刺す時はちゃんと教えるから。ね？」
「…ん」
消毒が終わったから、目をギュッと瞑る。
今かな、今かな…ってドキドキ。
翔「動かないで我慢してね…刺すよ？」
「…ん」
覚悟を決めたつもりだったんだけど…
［翔にぃside］
智「…っ、待って…やっぱりやだ…」
「あ、駄目だよ」
いざ刺そうという時になって、智にぃが腕を
引こうとして。
慌てて腕を抑えたけれど…
智「んん…やだよ…」
「あ…笑」
腕を抑えられて逃げられないと思ったのか、
手を握ってしまう。笑
痛くてそんなにギュッとは握れていないけど、
これじゃあ、処置はできない。
「…恐くなっちゃった？」
智「…ん、やっぱり、やだ…」
目を潤ませて、フルフルって首を振られると
降参してしまいそう。
「大丈夫。…早く終わらせちゃおう？」
智「…痛くしない？」
「ん、痛くないように頑張るから。ね？」
智「…ん」
よし、再チャレンジ。笑
今度は手を閉じられないように指の上に
手を置いて抑えた。
智にぃには「それやだぁ…」って言われたけど。
だって、あなた手閉じそうで恐いんだもん。笑
目をギュッと瞑ってビクビクして…
なんだか可愛い。
「刺すよ？ちょっと我慢ねー」
智「…っ、んっ！！」
「もう大丈夫だよ。あとは引くだけだから…」
智「ん、んん…」
「もう痛いことないからね。動かないよ？」
なんか急に腕を引きそうで恐いから、抑えながら
処置を続けたけど…
ペタッと絆創膏を貼って処置を終えたら嬉しそう。
よく頑張りました。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
