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［翔にぃside］
智にぃが病院に
来なかったから、もしかしたら治療法が
バレたんじゃないか…ってドキドキした。笑
あえて伝えずに治療したいからさ。
知ったら、きっと恐がって嫌がるだろうから。
だけど理由が「良いアイディアが浮かんだから」と
「あんまり痛くなくなったから」で。
内心ホッとしてる。
でもお咎めなしってワケにはいかないから
ちょっと怒ってるフリしてるけどね。
「明日の朝イチね？」
智「…」
「家から一緒に行くから」
智「…」
「今度は逃げられないからね。笑」
智「んん…」
ずっと俯いてる智にぃの顔を覗き込んだら
「逃げないもん…」って膨れっ面で。
「はは！」
思わず笑ってしまう。
そして、ふと思い出す…
この人が、パソコンと向き合っている時は
別の顔があって、カッコイイんだよな…って
ことを。
「今日できたのどれ？見てもいい？」
智「ん、いいよ。これ」
「あ、すげぇ〜！」
智「んふふ…」
すごいなって思って、そのままを口にすれば
フニャッと笑って「そんなこと、ないよ〜」って
笑う。
自分がすごくてもそれを認めない。
昔から変わらない。
カッコいいなって思う。
そんなカッコいい兄ちゃんを連れて、翌日は
病院に行ったんだけど…
智「やだ、なにそれ…聞いてないもん…」
「いいから…笑。すぐ終わるよ？」
智「やだ…」
治療法を伝えたら、この有様。笑
手を後ろに隠してしまって治療どころではなくて。
「痛いの治す為だもん。頑張ろう？」
智「やだ。もう痛くないからいいよ…」
「じゃあ、放っておくの？」
智「ん、このままでいい」
ん〜…どうやって説得しようか。
診察室のベッドに腰掛けた智にぃは鞄を手に
「今すぐ帰ります」って勢い。笑
智「もういいよ。仕事行ってよ…」
「なにそれ。笑」
智「治らなくて大丈夫だから…」
「仕事は？」
智「…できるもん」
「…その手で？」
智「…ん」
今は「治らなくていい」なんて言ってるけど
それが本心だとは思っていない。
手のひらがこんなに膨れていたら不自由だもん…
「…見せて？」
智「…ん」
俯いたまま手を差し出してくれたから、そっと
包むように握る。
「今頑張ったら、思いっきり仕事出来るよ？」
智「…」
「もう、いつ痛くなるかな…って心配しなくて
済むんだよ？」
智「…」
「…治そう？」
智「…」
「恐くないようにやってあげるから。ね？」
ずっと俯いていた智にぃが、本当に小さくだけど
コクッと頷いた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
