2698.【3】 ページ48
［智にぃside］
翔は、みんなが寝てから
そっと部屋にきてくれた。
翔「…」
「…怒って、る？」
翔「はは！なんでよ。笑」
「…だって、隠してた、から」
翔「忙しかったんでしょ？」
「…ん、少しだけ…」
翔「だったら、しょうがないよ」
翔はお兄ちゃんみたいに優しく笑って、俯いた
俺の肩を抱いて「治そうね」って笑ってくれる。
忙しさと、手の痛さで精神的にも追い詰められ
始めていた俺の心に気が付いてくれたのかも
しれない。
「…治る？」
翔「ん、治るよ。病院で調べて、それから
治そうね」
「…ん」
なかなか良くならない手のひらのプックリした
物体を見て、心配になっていたのは確かだったし、
痛みも日に日に増していたからね…
翔に見つかって良かったのかもしれない。
このまま隠し通せるはずはなかったしね。
翔「仕事、できそう？」
「ん、なんとか…進められてる」
翔「そっか。家事とか俺らやるから、遠慮なく
言ってね？双子も協力してくれるし」
「ん、ありがと…」
俺の忙しさを分かってなのか、2日前くらいから
和と潤がお弁当箱を洗ったり、洗濯物を
取り込んだりと手伝ってくれてたんだ。
そのことを翔に話したら「あいつらやるね。笑」
って。
「…ふふ。よく見てるよね」
翔「だね」
もちろん翔も含めてね、我が家はみんな兄弟のこと
よく見てる。
5人で生きていく…って決めてから、自然に
そうなったのかなって。
翔「じゃあ、明日の午後ね。ちゃんと来てよ？笑」
「んん…分かってるよ」
病院に行く約束をして、その日は眠った。
午前中は仕事のやり取りがあったから、午後に
してもらったんだ。
でも、だんだんと行きたくなくなってきて…笑
『ちょっと仕事いっぱいで行けない』
翔にそうLINEして、家で仕事をしてた。
自分の為に時間を作ってもらったのに…って
思いもあるけど、今日はあんまり痛くないし、
良いアイディアが浮かんだから、仕事に没頭
したくって。
翔から着信きたけど、出ずに無視してパソコンと
向き合ってた。
双子が帰ってきてからも、色々と手伝って
もらったから不自由なく過ごせて。
このままでも、案外いけるんじゃねーか？…なんて
思ってしまったりして。
でもね、やっぱり翔はちょっとお怒り気味で…笑
翔「なんで来なかったの？」
「…」
夕食後に部屋に連行された。
翔「放っておいても治らないよ？」
「…」
俺の心はお見通しみたい。笑
「良いアイディア…浮かんだんだもん…」
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
