2685.【3】 ページ35
［和side］
血液透析を受けるには
太い血管を作る手術が必要で。
翔「かーず、右手ちょうだい？」
「…ん」
手術は局所麻酔で出来るらしくて、俺はそれに
加えて、薬で少しだけボーッとさせられてる。
翔「先生に任せてあるから。これ終わったら
家に帰ってのんびりしような」
「…らしの、…んぽ？」
翔「さすがに今日は無理だけど、明日なら」
「んふふ…やった」
翔にぃは俺の右側で視界を遮ってくれる。
麻酔の時は痛かったけど、ちょっとだけだった
から頑張れた。
麻酔のシールも事前に貼ってもらっていたから
刺されるって感覚もなかったしね。
翔「辛いとこない？」
「ん、だいじょ…ぶ」
ちょっと眠たいかも。
でも完全に眠ってしまうのは何だか恐くて
嫌なんだ…
翔「大丈夫、恐くないよ」
「…ょ、にぃ…」
翔「ん、ここにいるよ」
左手を握ってもらって少し落ち着く。
そしたら翔にぃは、眠りたくない俺の気持ちを
汲んでくれて色んな話をしてくれた。
ウトウトしながら翔にぃの話を聞いて、時々
「そうなんだ」とか「そうなの？」とか
話もして。
夢と現実の狭間をいったりきたり…
心地良くて幸せな時間だった。
だから「かーず、終わったよ」って頭を撫でられて
「もうおしまい？」って聞き返してしまって。
翔にぃに「余裕だったな。笑」って笑われた。
「翔にぃいたからだよ」って。
ちゃんと伝えたよ。笑
［雅にぃside］
血液透析の為に作った血管の状態も落ち着いて
初めての透析を受けれることになった。
和「ねぇ、ずっと一緒…？」
翔「一緒だよ。智にぃと雅紀も一緒ね」
和「んん…」
何度聞いても、和の顔から不安そうな表情は
消えない。
少しでも落ち着けるように半個室を用意して
もらえるように頼んだ翔にぃ。
カーテンだけで仕切られているスペースだと
他の患者さんに迷惑がかかるしね。
こうして智にぃと俺も傍にいれなくなるし。
ベッドに座らせて「これから看護師さんが
来てくれるから」って話をして。
翔「ここ、寝て待ってよう？」
和「ん、んん…」
智「どのDVDにするんだっけ？雅紀がいっぱい
持ってきてくれてたよ」
「どれにする？準備しておいてあげる」
あの手この手で落ち着かせて、何とかベッドに
寝かせようとするけど「いや」って。
そうこうしているうちに、看護師さんが準備を
しにきてしまって「翔にぃがいい…」って
しがみ付いて離れなくなった。
さて、どうしようか…笑
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
