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［智にぃside］
入院して数日、
これから腎生検。
和は朝からガッチガチに緊張していて、
「翔先生がいい」って連呼してる。
翔の専門外って分かっているから、不安も
大きいのかもしれないね。
翔「俺も一緒だよ。傍にいるから。な？」
「よかったね、安心だねぇ」
和「…んーん、や…」
泣きはしないものの、検査室に到着してからも
縋っていって離れなくて。
泌「和くん、おはよう。頑張ろうね？」
和「…ん、やだ…」
泌尿器科の先生が差し出してくれた手をペチッと
払って、翔に「和？」って叱られた。笑
泌「ここにうつ伏せで寝転んでね〜」
翔「かーず、ここだって」
和「…ん、んーん…翔にぃ…」
翔「言い聞かせるんで、ちょっとだけ
時間いいですか？」
泌「もちろん。ゆっくりでいいよ」
検査台に座るとこまではクリアしたけど、
コアラみたいに引っ付いちゃって。
翔は一度和をしっかり抱き締めてあげてから、
これからの検査のことをまた分かりやすく説明。
和はコクコク頷いて納得できたみたい。
さすがだよね、翔先生。
翔「智にぃに、手握っててもらう？」
和「…ん」
ベッドにゆっくりうつ伏せで寝かせて、俺は頭側で
和の手を握りながら頭を撫でる。
翔は先生のサポートをしながら、背中を優しく
撫でてあげて…
最初の麻酔だけ少し痛いみたい。
それに注射だから、和には見せないようにしないと
いけないし。
検査室の空気が一瞬ピリッとする。
敏感になっている和は「や…」って声を漏らして
「翔にぃどこ…」って泣きそうな顔。
翔「ここにいるよ。大丈夫…」
和「…ん」
和が、顔を見ていたがるから、それを叶えつつ
検査のサポートもする翔。
上半身に覆い被さるように軽く固定して
空いた手で頬に触れてあげて…
翔「少しだけ痛いよ？頑張れ…」
和「…っ！んっ…んん…」
苦痛に歪む顔は可哀想だったけど、翔が「もう
痛いのおしまいだって」って頬に触れたら
小さく笑うことができて。
検査の途中「翔にぃ…」って不安そうに呟くことも
あったけど、その度に翔が「ここにいるよ」って、
サポートの手を止めて構ってあげて。
パニックを起こすこともなく腎生検を終える
ことが出来た。
翔「偉かったな」
和「…ん」
褒めてもらってすごく嬉しそう。
翔の手を捕まえてる。
検査後は長時間安静にしていなくちゃいけなくて
『いい子にできるか？』って俺ら兄は
秘かに心配していたけれど。
翔が傍にいたら、お利口さんにできた。笑
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
