2679.【智にぃお尻に注射】 ページ29
［翔にぃside］
「仕事、したいんじゃ
ないの？」
智「…」
「診察させてくれないなら、仕事も出来ないよ？」
智「…」
もう…この人、ほんとに頑固。
多分ね、我が家で一番だと思うよ。笑
昨日の夜から、もしかしたら具合悪いんじゃ
ないかな…と気になってはいた。
そしたら今朝、双子と雅紀を見送った後に
フラフラ…としてて。
確信に変わったよね。
でもそれを問い詰めようと思ったら、部屋に
逃げられて…
布団に潜って出てこない。
そして、今に至る。笑
「とりあえず顔だけでも出して？」
智「…」
また無視だ…笑
溜め息ついでに…ふと、机に目をやる。
開かれたままのパソコンにたくさんのメモ用紙。
昨日も一昨日も遅くまで明かりが漏れていたから
やっぱり仕事が立て込んでいるんだろう。
だったら尚更、しっかり診察を受けてもらって
必要なら薬も処方したい。
倒れるなんてことになったら…と思うと
心配で堪らないから。
それなのに、何度か声を掛けてもひたすらに
無視されて。
もう容赦しねーからなってなるよね。笑
「ねぇ…パソコン没収するよ？」
智「…ん〜…」
「出てきて！」
智「やぁだ…」
無理矢理に布団をガバッと捲ったら、すでに
涙目の智にぃがいた。笑
［智にぃside］
軽い風邪だと思っていたのに、今朝目覚めたら
自分でもビックリするくらい体が熱くて…
もちろん翔にバレたよね。笑
始めは怒っていなかった翔だけど、俺の往生際の
悪さに怒り出して。
ガバッと布団を捲られて、抵抗する間も無く
耳で体温を計られた。
「…熱、高い…？」
翔「聞きたいことだけは、ちゃんと聞くん
だから。笑」
「ずるいよ。笑」って言いながら眉毛を下げて
困った顔をする翔。
でもその後に優しい顔して、俺の額に触れながら
「39℃超えてるよ」って。
翔「仕事、いっぱいあるの？」
「…ん」
翔「ん？」
あんまりいっぱいあるとは言いたくない。
でも、高熱の時に翔を誤魔化せるような技術は
待っていなくって…
曖昧に応えて目を逸らしたら「どれくらい？」
って優しい声がした。
翔「仕事だもん…投げ出せないことくらい
分かってるよ。協力させて？」
「…ん。4日後に締め切りなのが2つ…」
翔「そっか。どうしてもやらなきゃいけない？」
「ん、やりたい」
翔「分かった。そしたら午前中のうちに
病院に行って熱下げちゃおう？」
「…ん」
このままじゃさすがに仕事出来ないから
渋々頷いた。
ほんとは動きたくないけど…
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
