2676.【2】 ページ26
［智にぃside］
はっきりと聴こえる喘鳴…
次から次へと誘発されて、咳は止まらない。
翔「…っ、んっケホッ…、…っ、ケホッ…」
「ゆっくりね…薬、吸える？」
翔「…んっ、ケホッ…っ…ケホッ…」
息を吸おうにも、咳が邪魔して…
「とりあえず、吸ってね…」
翔「…っ、…っん、ケホッ…」
吸入薬を咥えさせて吸わせたけど、効果が
あるのかどうか…
雅「和と一緒に下降りていい？微熱だったら
大丈夫だよね？」
「ん、お願い！！」
和を支えながら階段を降りてきた雅紀は「どっち
みち、双子のこと置いていけないしね。笑」って
笑って。
そのニカッとした明るい笑顔に救われる。
雅「病院行くでしょ？俺が運転するよ」
「ありがとう。潤と和は一番後ろに座ってて
くれる？」
和潤「分かった」
俺が頼まなくても、潤は「和、いこう」って
手を伸ばしてくれる。
「辛いと思うけど、車まで移動しようね」
翔「…っ、ケホッ…ん、…っ、ん…ケホッ…」
雅「支えてるからね、力抜いてていいよ」
翔「…っ、んっ…ケホッ…ケホッ…」
両側から支えて車まで連れていって後部座席に
座らせる。
双子がリクライニングを少し倒して、用意して
いてくれた。
「ありがと…」
身を乗り出して待っていた双子の頭を、思わず
ワシャワシャっと撫でる。
翔「…っ、んっ、ケホッ…ケホッ…ケホッ…」
「苦しいね…病院まで頑張って」
何してやればラクになるのかと…
翔「…っ、ケホッ…んっ…ケホッ…」
和「…息吸えてる？」
「ちょっと厳しいね…」
車が走り出してしばらくしたら、和が覗き込んで
きて、不安そうな表情。
和「…ょにぃ…」
翔「…ケホッ…ケホッ…っ…」
「苦しいね…」
和がこんなにも不安そうな表情をしているのに
翔は苦しさに耐えられず…目を閉じてしまう。
心配させないようにする余裕すらないのだと…
翔「…っん、ん…っ…」
「…翔？」
翔「…っ…」
呼吸困難…
雅「もうすぐ着くから。頑張って…」
「頑張れ、翔…」
何とかラクになる方法を…と思うけど、翔の意識は
どんどん薄れてきて。
「翔？…翔！！」
翔「…」
病院に着いた時には意識を手放し、呼吸困難で
唇も紫色に…
ストレッチャーで運ばれていくのを、黙って
見ていることしか出来なかった。
だから先生が「もう大丈夫だよ〜」って
声を掛けてくれて嬉しくって。
気が付いたら、双子に負けないくらい元気に
「ありがとうございます」って頭を下げてた。笑
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
