2669.【2】 ページ19
［智にぃside］
急に翔が倒れて
ビックリしたけど、先生が傍にいてくれたし、
病院だったこともあって落ち着いていられた。
多分、和も同じ理由で、いつもより落ち着いて
いられたんじゃないかな。
先生のこと、信頼してるしね。
「かず？出てる？」
和「んーん…ここに、いる…」
「そっか。心配だもんね」
診察室のベッドで始まった翔の処置。
和はここを出るのは嫌みたいだから、パイプ椅子
を借りて、一緒に座った。
処置の様子が見えないように、和の視界を
遮りながら肩を抱く。
診察室に響くのは先生が指示する声と、
看護師さんの声。
それから…
ピッピッピッピッ…
挿管が終わったみたいで、機械音も聴こえる。
和「しょ、にぃ…大丈夫だよ、ね？」
「ん、大丈夫。先生いてくれたら、大丈夫」
不安そうに俺を見上げていた和。
その口が「そうだよね」って小さく動いて
それから頷いた。
「待ってようね…」
和「…ん」
もう一度しっかり腕の中におさめて、頭を撫でる。
先生の口からは色んな薬品の名前が飛び出すけど
俺は知識がなくて全く分からないから
どうなっているのか理解は出来ない。
だけど、15分くらいしたら落ち着いたみたいで
先生が「もう大丈夫だよ」って教えてくれた。
やっぱりアナフィラキシーショックを起こして
いたみたい。
先「いつもの病室に移動しようか」
「お願いします」
先「和くん、体調は大丈夫？」
和「ん、へいき。先生、ありがと…」
先「ふふ…お礼はいいよ。その代わり、病室に
着いたら、診察させてな？笑」
和「え…むぅ〜…」
先「…ふふ」
ちょっと不満そうだけど頑張ってくれそうで
安心する。
先生と一緒にストレッチャーを押しながら
「翔にぃ？」って何度か呼び掛けた和は
返答がなくて不安そうな顔をしながらも
翔の顔色の良さには安心したみたい。
「苦しいのなくなってよかったね」って話し
掛けてて可愛かった。笑
挿管は気道の炎症が落ち着いたら抜いてくれる
らしい。
ピッピッピッピッ…
夜になって5人が揃ったけど、翔はまだ
寝かされたまま。
和と潤に両側から手を握られてる。
挿管さえなければ、ただ眠っているのと
変わらない。
それくらい穏やかな顔で。
雅「大変だったね…ビックリした」
「ほんとにね。でも病院にいた時で、ほんと
よかった」
和「…ん。先生、やっぱりすごかった」
益々、先生のこと大好きになって、信頼する
気持ちも大きくなって。
翔が目覚めたら報告だね。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
