2692.【翔にぃ、上司との悩み】 ページ42
［翔にぃside］
※上司=「上」
上「翔先生、ちょっといい？検査のこと
なんだけどさ…
こっちの方が良いと思うんだけど、何でこれ？」
「あ、すみません。その患者さん閉所恐怖症
患ってて、こちらの方が…」
上「あ、そういうこと。でも、説得して
もらえると助かるんだけど」
「…」
1週間前から、新しく上司になった医師。
海外での経験も豊富。
だけど大学病院での勤務が長かったこともあり、
患者目線より、病院の利益とか、手っ取り早さ
を優先しがち。
まぁ、俺が偉そうにそんなこと思うこと自体が
間違いなんだろうけども。
「翔先生の言うことなら納得するでしょ」って
何かと片付けてられてしまう。
そりゃ、築いてきた信頼関係があれば説得は
できるかもしれないけど…
それは患者さんの信頼感を利用するって
ことでしょ。
「はぁ〜…違うんだよなぁ…」
何度目のボヤキだろう。笑
虚しく響いて、虚しく戻ってくる…
仕事をしていれば上司との意見の食い違いくらいは
ある。
今までだってあった。
でも、今まではきちんと聞いてくれた。
「俺はこう思う」って伝えると少しは自分の中で
消化されるっていうか。
でも新しい上司は「翔先生の言いたいことは
分かってる」「分かってるけど、そうはいかない」
って感じで。
話をする隙を与えてくれない。
忙しいのももちろんあるんだろうけども、
それ以前に、俺と話そうという気持ちがない。
それはそれで、ちょっとショック…だしね。
「はぁ〜…」
先「まーた、溜め息…笑。何度目だ？」
「…先輩。すみません…」
屋上のベンチで休憩していたら隣に座った先輩。
先「なんかあった？元気ないけど…」
「はい、ちょっと…色々上手くいかなくて…」
先「あいつと？笑」
「…はい」
先「あはは！やっぱり。笑」
俺らの上司になった人と先輩は、同期らしい。
一緒に働いた時期もあったと話してくれた。
「ちょっとクセあるけど、根はいい奴だよ」って
教えてもらって、ちょっと安心してたんだ。
先「あいつもさ、色々と苦労してるから
さらにクセ出てるよな。笑」
「…」
「はい」なんて言えないしさ、苦笑いで誤魔化す。
先「今年いっぱいなんだろ？あと数ヶ月じゃん」
「そうなんですけど…」
先「我慢ならないって？笑」
「…っ、いや、とんでもないです。
そういう訳じゃなくって…」
「あはは！」ってまた豪快に笑った先輩に
「どうしたら上手くやれるのかなって…」って
素直に相談できた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
