2662.【3】 ページ12
［潤side］
一夜明けても、和は
目を覚まさなかった。
智「少し寝ておいで？」
「…」
先に仮眠を済ませた智にぃがICUに戻ってきて
交代。
ほんとは交代なんてせずにずっと傍にいたいけど…
雅「一緒にいこう？」
「…ん」
雅にぃに手を引かれてICUを出る。
仮眠室では「一人で眠れる？」なんて、質問を
してくる雅にぃ。
こんな質問を当たり前のようにできるなんて。
どこまでも優しい人だな…と。
素直に答えられずに黙っていたら「俺も不安だし
一緒に寝よう」って言ってくれて。
雅「和はさ、強いから大丈夫だよ」
「…ん」
泣きたくなんてないのに、頬を涙が溢れてきて…
雅「大丈夫。先に寝ちゃいな？」
「…ん」
「タオルないから。笑」なんて笑いながら、
自分の服の袖を伸ばして涙をポンポンと
拭ってくれて。
雅「和も潤も強いから大丈夫。信じてるよ」
「…ん」
胸元をトントンと優しいリズムで叩かれて
気が付いたら眠りに落ちていた。
だけど目覚めてから治療法の説明があって…
それを聞いていたら不安でいっぱいになって
しまって、また泣いてしまった。
駄目だ、泣き虫…
［和side］
体験したことないくらいの、ものすごい頭痛。
目が覚めた後は4人の顔を見れて安心したけど、
それと同じくらい大きな不安があって…
またあんな頭痛に襲われたらどうしよう…って。
言葉を発したかったのに口が言う通りに
動いてくれなくて…
あんな恐い思いはもうしたくない。
「…っ、ん…」
智「…大丈夫だよ」
涙を拭って、智にぃが添い寝してくれる。
温かくって安心で…
「…っ、んくっ、…う、やだ、よ…？」
智「ん、苦しかったもんね。俺らも、あんな風に
辛い思い、もう和にして欲しくないよ」
「…っ、んっ…こ、わい…」
抱き締めて宥めてもらうんだけど、軽いパニック
みたいになっちゃってて、呼吸はどんどんと
速くなる。
それに伴って機械音がピコンピコン…と
うるさくなる。
翔「少し落ち着こうな…」
「…っ、んっ、ん…」
智「だいじょうぶ。ゆっくり…」
頭を撫でられながら、にぃ達の声だけに集中
していたら、少しずつ呼吸がラクになってきた。
一眠りして目を開けたら、いつもの病室に
移動していて、澤先生と先生がいた。
澤先生…ってことは、脳の病気かな…
だからあんなに頭が痛かったんだ…
また脳腫瘍の手術だったら…
もう不安と恐怖しかない。
そんな俺の気持ちをいち早く汲み取った智にぃが
抱き締めてくれた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
