2644.【3】 ページ44
［智にぃside］
先「このまま入院
させちゃってもいい？」
「はい、お願いします…」
病院に着いた直後に咳込み出した翔。
雅紀の言う通り「ヒューヒュー」という喘鳴が
はっきり聞こえてきた。
もう隠す余裕もなかったんだろうね…
双子はポロポロ泣き出してしまったけど、先生が
処置室の前で「薬ですぐに止まるから大丈夫」
って声を掛けてくれたお陰で、落ち着いて待つ
ことが出来た。
ストレッチャーに寝かせられた翔は
そのまま病室へと運ばれていく。
面会時間は終わっているけど「目を覚ますまで」
ってことで許可をもらって、翔に少しだけ会った。
翔「…め、ん…」
開口一番に謝るところはさすがだ。
酸素マスクを曇らせながら、まだ苦しそうに
呼吸してるっていうのに…
先「今日はもう会話禁止。笑」
謝ってばかりの翔を先生が止めて「寝なさい」
って。
和潤「また明日、来るね？」
翔「…ん」
雅「心配しないで、ゆっくり休んで…」
翔「…ん」
気を利かせた雅紀が「正面に車回してくるね」って
双子を連れて先に出て行ってくれた。
「…また無理して」
翔「…め、ん」
「苦しかったでしょ？」
翔「…ん」
翔が反省してるのは分かってる…
でも心配したし、不安だったし…俺だって一言
くらい言いたい。笑
翔「…っ、…んっ、ん…」
先「あー、泣くな。また苦しくなる。笑」
そしたらポロポロ泣き出しちゃって…
先「まぁ、いいや。泣いてるついでに俺も
言わせてもらう。笑」
翔「…っ、…んっ、ケホッ…」
先「咳が出るのを隠してるから、こういうことに
なるんだからな？次はないからな」
翔「…っ、ん…、…っ、は、い…」
先「じゃあ、もう説教は終わり。笑」
リクライニングを少し起こしてくれた先生は
タオルで翔の涙を拭きながら「胸さすって
あげて？」って。
「ゆっくり寝てね。明日、朝イチで面会に
くるからね」
翔「…ん」
薬の影響もあって、そのまますぐに目を閉じて
眠りに落ちた翔。
謝ることも出来たし、説教も終わったから
あとはゆっくり休むだけだもんね。笑
安心した顔して寝息を立てている。
翌朝はもちろん…
和潤「ねぇー、早く行こーよー！！」
雅「面会時間まだだってば！笑」
「とりあえず朝ごはんを食べてくれ…笑」
我が家は賑やか。
結局、双子は「早くー！」って引かなくて。
車に乗ってから朝食のおにぎりをパクパク。
心配した分、早く翔に会いたくて会いたくて
堪らないんだろうね。
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
