2587.【4】 ページ37
［翔にぃside］
「深呼吸しててな〜」
和「はぁーい」
事故から3日が経って。
記憶はまだ戻らないけれど、和はだいぶ環境に
慣れてきた。
和「え〜…また採血するのー？」
「ん、嫌？笑」
和「やだよ〜…ちょっと痛いし〜」
採血の準備をしていたら漏れる不満。
恐怖症の記憶は消えているけど、採血は嫌らしい。
まぁ、好きな人はいないか。笑
「はい、和くん…笑。台の上に腕のせて？」
和「んぅ〜…」
「ほら、早く。翔先生の採血は痛くないよ？笑」
和「昨日ちょっと痛かったもん…」
「嘘だぁー。笑」
和「きゃはっ！」
なんだか新鮮なやり取りだ。
「2本採るから、ちょっと待ってな？」
和「はぁーい」
トントントン…
潤「かずー！」
和「あっ、潤！！」
学校終わりの潤が智にぃに連れられてやってきて
和は大喜び。
「動くなって言ってんのに…」
和「あ、ごめん！笑」
嬉しさのあまりベッドの上でピョコピョコするから
腕も動いちゃって焦ったよ…笑。
潤「今日はさ、学校の友達のこと教えようかと
思って」
和「写真持ってきてくれたの？見たいっ！」
鞄の中から出てきた沢山のアルバムを
和は一生懸命見てる。
そんな和の隣で潤は丁寧に説明。
責任感じて沢山泣いたけど、今は誰よりも
前向きに、和の記憶を取り戻してやろうとして
頑張ってくれてる。
和「楽しそうに笑ってるね！」
潤「うん。こいつらといるとさ、すげー楽しいの。
だから元気になって学校戻ろうな？」
和「うん、頑張る！」
可愛い笑顔で顔を見合わせる双子。
「その為にも頑張って食べような？笑」
和「えぇ〜…」
変わらず食が細くてね…
食事には苦労してる。
みんな揃った夕飯の時間、食べたくない物を
箸でツンツン。
和「これも、これも…好きじゃない…」
「好きじゃなくても、食べるの」
和「やだ」
口を尖らせる姿は和そのもの。
潤も「くはは！」って笑い声を上げる。
和「ねぇ、和は何が好きだったのー？」
「何でも食べるよ。好き嫌いなくモリモリと。笑」
和「嘘だぁ〜」
「はは！嘘。笑」
智「いっつもそうやって『食べたくない〜…』って
駄々捏ねてたよ」
和「そうなんだ。じゃあ、一緒だ」
「そう、一緒。俺に食わされるけどね。笑」
和「えぇー…やだ」
「駄目。あーん？」
和「ぶぅ…」
環境に慣れるまでは優しくしてたけど、そろそろ
いいかなって。
みんなで、怪我前みたいに接して思い出して
もらおうかと。
戻っておいで、和。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年6月14日 18時
