2531.【3】 ページ31
［智にぃside］
和が目覚めないまま、
時間だけが経過していく。
さすがの潤も心配な気持ちが大きく膨らんで…
雅「また明日来よう？」
潤「や…、帰りたく、ない」
雅「朝イチで、また会いに来よう？」
潤「…っ、ん、や…、帰らな、い」
面会終了の時間になっても「傍にいたい」って
泣いてしまう。
翔「…潤？明日おいで。待ってるから」
潤「…っ、んっ…や…」
翔「立って？」
潤「…やーだ…」
翔が手を引いても床に座って立とうとしない。
翔「大丈夫だから。明日も和、待ってるから」
潤「…んっ、や、だー、や…」
翔が後ろから両脇に手を入れて抱えるようにして
くれて、ようやく立ち上がる。
潤「…っ、んくっ、ん〜…」
日に日に「傍にいたい」「帰りたくない」って
思いは強くなる一方で。
そんな時…
先生と翔が一生懸命に
調べてくれて、和の持病と脳梗塞が関係して
いるかもってデータを出してくれた。
和の病気はまだ研究段階だから断定は
できないらしいけど。
それに、難しい話過ぎて俺にはよく
分からなかったりして。笑
翔「普通は、血管の外に出た血はすぐに固まる
だろ？」
潤「うん」
翔「血管の中では、サラサラ流れるように
作られてる」
潤「うん」
翔「このバランスが傾くと、血管内で血液が
固まって、今回みたいに血管が詰まってしまう」
潤「うん」
翔「和の持病と、この血液のバランスが崩れるのが
関係してるんじゃないかって話」
翔が潤に説明しているのを聞いて、俺も少しだけ
理解した。笑
雅「さて、帰ろっか」
潤「…ん。また明日ね、かず。おやすみ…」
翔「今日は俺も帰るから」
潤「やった！家で待ってる…」
潤は一歩先に進めたことに安心したのか、
その日から面会終了の時間になっても泣かなく
なった。
そして、さらにそれから数日…
翔「かず…分かる？」
先「…分かるかな？」
薄っすらと目を開けた和が、コクン…と
微かに頷いた。
春亮さんも駆け付けてくれて。
春「頑張りましたね、和くん」
和「…っ、…」
頬を伝う涙。
潤はそれをタオルで優しく拭って「ありがとう」
って抱き着いた。
先「次、起きたら調べてみようか」
翔「そうですね」
脳梗塞の影響で麻痺が起きていないか、調べて
もらわなきゃいけない。
手足の動作とか言語とか。
不安なことはいっぱいある…
だけど、目覚めてくれたからまずはホッとするのが
正直なところ。
早く可愛い笑顔が見たい。
また笑って欲しい。
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作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
